母たちの村

劇場公開日:

解説

古くから伝わるお清めの儀式として女の子は割礼を受けることが決まりとなっている西アフリカの小さな村で、この風習を廃止しようと立ち上がる母たちの戦いを描いたヒューマン・ドラマ。監督は「エミタイ」「チェド」のウスマン・センベーヌ。第57回カンヌ国際映画祭ある視点部門・グランプリ受賞、2005年全米批評家協会賞・最優秀外国語映画賞受賞。

2004年製作/124分/フランス・セネガル合作
原題:Moolaade
配給:アルシネテラン
劇場公開日:2006年6月17日

ストーリー

西アフリカのとある村。コレ(ファトゥマタ・クリバリ)は、第一ママ、第三ママや子供達に囲まれ、いつもと変わらぬ穏やかな朝を迎える。突然、4人の少女がコレのもとへと逃げ込んでくる。この村では、女の子たちは割礼を受ける決まりとなっていた。今年儀式を受けるはずの少女のうち、彼女たち4人はコレのもとへ、他の2人は町へと逃げる。コレもまた、他の女性たちと同じように割礼されている。その為に2回流産し、娘アムサトゥ(サリマタ・ラオレ)の出産の時には帝王切開をしなければならなかった。たとえ古くから伝わる伝統だとしても割礼は良くないと信じるコレは、娘には割礼をさせなかった。4人の少女たちは、自分の娘に割礼を受けさせなかったコレに「モーラーデ」(=保護)を求めて逃げて来た。コレは少女たちを保護する事を決心する。入り口に縄が掛けられ、「モーラーデ」が始まった。この出来事で、村中が混乱でごった返す事となる。割礼を受けてない女性は「ビラコロ」と蔑視され、きちんとした結婚相手も見つからないとされているこの村で、割礼を受けない事は大問題なのである。そんな最中、村の長老の息子イブラヒマがフランスから帰国。イブラヒマとアムサトゥは婚約していた。彼の帰国を待ち望んでいたアムサトゥだが、自分はビラコロなので結婚できないのでは、と心配し始めていた。そんな娘にコレは、割礼の弊害を説く。そんな中、割礼から逃げようと、町へ行った2人の少女が、井戸に身を投げる。この出来事に激怒した村の男たちは、全てはコレが発端だと決定付ける。伝統を頑なに守ろうとする者、新たな考えをする者。2つの価値観が衝突し、村の緊張は更に高まり、騒然となるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第57回 カンヌ国際映画祭(2004年)

受賞

ある視点部門
ある視点部門 最優秀作品賞 ウスマン・センベーヌ

出品

ある視点部門
出品作品 ウスマン・センベーヌ
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映画レビュー

3.5字幕がもう少しちゃんとついてたら良かったな

2021年2月26日
PCから投稿

今も残る女子割礼。
その廃止を主張し、逃げてきた女の子たちを匿うコレ。
風習を守ろうとする村人たちとの戦いが始まる。

割礼は、私たちにしてみたら信じられない習慣だ。
もちろんちゃんとした医療施設と技術があるわけでもなく、命を落とす子も多いし、それでなくたって激痛をともなう。

それでもそれを「お浄め」と信じ、「お浄め」をしないと結婚できないとされてる文化では(しかも、女が結婚せずに生きていける社会形態ではない)「割礼しない、させない」を貫くのは命がけだ。

体を張って割礼の危険性、不要さを訴えるコレはものすごくかっこ良かった。
メインテーマは割礼だけど、一夫多妻性をはじめとしたイスラム文化、アフリカの生活も見れてとても勉強になる。

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UNEmi

5.0割礼は○○美容整形外科で

2018年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 女性性器切除だなんて風習があるなんて知らなかった・・・イラン映画だったら男の子の割礼はよく出てくるのに・・・とりあえずビックリです。主にアフリカで行われる風習であり、人口抑制のために行われ、年間200万人がこの割礼を受けているとのこと。先進国からみれば、女性の虐待。どこを切り取ってるのかもわからないけど、死んでしまう子が多いことからも、とにかく恐ろしい風習です・・・

 舞台となっているのはイスラム社会のアフリカの地。女子割礼を執り行なう産婆とも呪術師とも思える不気味な集団がやってきて、主人公コレの元へ儀式から女の子4人が逃げてくる。コレの娘アムサトゥも割礼を受けてないが、“ビラコロ”と呼ばれていた。ビラコロは結婚するには不浄とされ、毛嫌いされているのです。彼女は村長の息子と結婚する予定でいたが・・・

 “モーラーデ”と呼ばれる結界のような場所。ここに匿われていたのだが、コレの夫が彼女を説得するも聞き入れない。やがて夫の兄がコレを鞭打ってでも割礼を納得させようとするのです。村人たちが集まる中、夫は泣きながらコレに鞭を打つ。最初は村人たちもビラコロは汚いものだと信じていたが、やがてコレに声援を送るようになるのだ・・・

 女性の尊厳を踏みにじるような行為。割礼の強制だけではなく、知識を得るための唯一の娯楽であるラジオをも焼き払ってしまうのです。伝統を守ろうとする古い体質の人間と、人間らしさの解放を求める女性たち。そして、文化的にも向上させようとする村唯一のインテリ尊重の息子や、フランス語も堪能な“兵隊”と呼ばれる雑貨屋がこの物語にも大きな役割を果たす。一夫多妻制ではあるけれど、コレを真剣に愛していた夫。男だって魅力的な人物はいたのです。

 電気も来てないような村だったけど、なぜかテレビを見たがっていた村長の息子。モスクの頂上にあったダチョウの卵がアンテナに変わったラストカットがお見事でした。もしかすると電池式のテレビだったのかもしれない・・・そして、女子割礼とイスラム教が関係ないこともわかってホッとしました。

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kossy

3.0風習は知っているが

2016年5月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

泣ける

危険な事をやる理由が解らない。
危険な割礼を止めさせる為の闘いがまた厳しい。
男尊女卑が残っているし、男性が圧倒的優位の社会で闘うのは大変。
何せ、重婚が許されている社会だから。
村の会で発言も満足にさせてくれないとか恐ろしい。
コレたちの闘いが女性の開放を意味するが、未だにアフリカでこのような事が行われていると言うのは苦しい。

日本はまだマシみたいに思う人もいるが、セクハラは無くならないし、女性の上司も議員も少ない。
男女格差を埋めるのは歴史まで掘り返す闘いなのか……。

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うにたん♪(何観ても文句書きそうな気分)

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