「クリスマスの奇跡」クリスマス・キャロル(1938) 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0クリスマスの奇跡

2023年12月24日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

クリスマス映画の金字塔
何度もリメイクされた不朽の名作

1938年の作品
昭和13年
ヒットラーユーゲントが来日した年
北原白秋作詞「独逸青少年歓迎の歌」を思い出す
ボブの息子はプティングに万歳なのに白秋ときたら「火虎万歳」「万歳納粹」なので困ったものである
スクルージじゃなくてもクビにされておかしくない

あらすじ
気難しい守銭奴で誰からも嫌われている実業家スクルージ爺さん
クリスマスの前日7年前に亡くなった共同経営者ジェイコムの幽霊がスクルージの前に現れ忠告してきた
スクルージは3人の精霊によって過去現在未来を見せられ諭されることによって改心していく

1人目の精霊は若い美女で少年時代丁稚時代のスクルージ担当
2人目の精霊はビッケのパパみたいに見事な髭を生やした膨よかなオッサンで現在を担当しスクルージと一緒に窓から他人の家の中を観察
3人目の精霊は黒装束の死神のような者で葬儀に弔問客が来ない孤独なスクルージの未来を担当

前半のスクルージの偏屈ぶりが笑える
「good afternoon」を「帰れ」とか「失せろ」と訳したのは秀逸
時折「ハンバーグ」と聞こえるがスピードワゴンのツッコミのギャグを先取りしたわけではなく実際は「Bah humbug」と言っている
意味としては「くだらない」らしいが昔の作品だけあって最近は使わない死語のようだ

年寄りが変われるかよという意見はあるがだってどっからどう見てもファンタジーだし
池袋の上級国民だって精霊に諭されたらきっと改心するさ
この作品の良さがわからないようではそれこそ老害ですよ
クリスチャンか宗教心が薄いかでだいぶ感想が変わってくるかも
アメリカ人は大多数がクリスチャンだし
僕は無神論者だけど精神年齢が低いせいか感動した

人間は変わると最初のうちは「頭がおかしくなった」などと笑われるけど世の中そんなもん
今までこれでやって来たんだからやり方は変えないと意地を張る男のメンツの塊は高齢者だけでなく現役世代の年下にもわりといる
柔軟に生きたいもんだね

野川新栄