青い棘のレビュー・感想・評価
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1927年の蓄音機でスクラッチ♪ズキュズキュシュイーン。
美青年だかなんだか知らないけど、ダニエル・ブリュールって俳優は庶民的ですよね。退廃的なパーティであっても“大いなる愛”を求めることに躍起になるポール(ブリュール)だったけど、どことなく仲間に入れない疎外感が漂っていました。彼と仲のよいギュンター(アウグスト・ディール)は上流階級らしいけど、なぜだかウマが合う。愛を求める美しい青春時代に愛に裏切られたら、この世を去るべきなんじゃないかと、虚無的な甘酸っぱさを恥ずかしげもなく語る二人。もちろん退廃的なドラッグ、拳銃なども登場し、R15になっているのも納得です。
好きになってしまったのはギュンターの妹ヒルデ(アンナ・マリア・ミューエ)でしたが、彼女には恋人ハンスがいて、そのハンスはギュンターの元恋人だった・・・またゲイだ。今月に入ってゲイに関する映画は3本目。この映画ではあまりにもドロドロしすぎた関係に共感もできなかった。また、「両手いっぱいに男が欲しいの」と悪女ぶりを発揮するヒルデのどこがいいのかと、ポールのセンスを疑ってしまったのも事実です。
自ら死を選びたいといった思想にはついていけなかったのですが、ポールを健気に愛するエリちゃんが素敵だったのです。“以前あったことがあるかどうか”というポイントからも、彼ら5人の運命は決まっていたような気もしたし、妖しげな占いが対象となる人物が違っていた意外性も面白かった。その占いが彼らのその後の運命をも変えてしまったような・・・しかし最後の事件の真相はアルコール摂取過多が原因だったという史実に基づく内容らしい。
麦畑を自転車で戯れながら進む光景や赤みがかった映像によって情感たっぷりだったと言いたいところですが、何しろ退廃的な上流階級のご子息たちが中心です。デカダンスという言葉で装飾するよりは、事件を起こして現れるのは“刑事(デカ)ざんす”と言ったほうがスッキリするかもしれません・・・
〈2006年鑑賞〉
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