ヒトラー 最期の12日間のレビュー・感想・評価
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冷静な視座が胸に迫る傑作
『ジョジョ・ラビット』鑑賞後に見たくなったので再鑑。
涙の出ない感動ってあるんだなぁと想いに耽りながら夜道を歩いたあの頃を思い出した(笑)
ヒトラーの秘書・ユンゲの視点を中心にして「最期の12日間」を淡々と描く作品。
この、「淡々」感が物凄く、映画として最低限の演出は織り込みながら、ウェットなドラマ感を徹底的に排していて素敵。 最低限の演出=自転車(笑)
どんなジャンルでも声高にテーマを押し付けられると萎えるものだと思うが、本作にはそれが無い。それだけに、突きつけられた「もの」を真剣に考えてしまうのだ。
ヒトラーだけでなく、政治、軍事の高官や無名の市民たちの「12日間」も描かれており、良質な群像劇、歴史劇と言って良いと思う。
そういう意味では邦題より原題の方がしっくりくるな。
(「崩壊」「滅亡」という意味らしい。)
とにかく、主演のブルーノ・ガンツを素晴らしい演技を筆頭に、「その時」を再現しようとする丁寧な映画つくりは圧巻の一言。
後からロケ地がロシア(敗残のドイツ兵もロシアのエキストラ!)と聞いて、何とも言えぬ気分にはなったがな(笑) (もちろん、映画の素晴らしさに水を差すものではないですよ)
色々とパロディーに引用されている作品
映画「帰ってきたヒトラー」にこの作品のシーンがパクられている(パロディ)、またその他かなりのパロディーが創られているということは、それだけこれを観た観客が多いということなのだろう。
ソ連のベルリン侵攻がえげつないなーというのと、すぐ自決に奔るのは日本と似ているとは思った。
ゲッペルス一家は悲惨だが、ゲッペルス自身が破滅を望んでいたのだろうな。
まぁまぁリアル。
ヒトラーの最期を描いたものとして、しばしば言及されることがある作品ですが、まだ未見でした。Amazonプライム・ビデオであったので見てみました。
色々と調べると、“概ね”史実通りなのだそうです。ヒトラーはね、最後、パーキンソン病であったと言う話がありますが、そのことを示すように手が震えていたり、細かいところまで描かれています。また、ヒトラーは、子どもや女性には優しかったと伝わっていますが、この作品でも、そのように描かれています。
って言うか、もう最後の方は、総統地下壕の中は、もはや敗残兵の集まりですね。総統がすぐ近くにいるのに、酒盛りばかりしていて。エヴァ・ブラウンも、そこに参加していたりしていたりしてね。もう、なんだかな。本当に、ああいう感じだったんでしょうかね?
対比するわけじゃ無いですが、って言うか対比ですが、日本軍は、末端の部隊は判りませんが、日本の本土に残った司令部は、あんな感じじゃ無かったですよね?実際の映像が残っているわけでは無いので、本当のところを見る事は出来ませんが、少なくとも映画などで描かれているのは、そうでは無かった。意外な違いを見た気がします。
考えさせられた。。。
ヒトラーは悪人というイメージが強かったが、単に悪いだけの人ではなかったのではないかと思わせる映画であった。いろいろな心の問題と戦っていたんだなと、非常に考えさせられる映画であった。
アドルフ・ヒトラーはユダヤ人だった!という仮説は大好きなのですが、それを想像させるシーンもあった・・・
それはエヴァとの質素な結婚式。「汝はアーリア人か?」と訊かれた瞬間のやりとりで、絶妙の間にゾクゾクしてしまった。実際にはその点を突くようなストーリーではありません。今まで観てきた映画、書籍、漫画の知識を総動員して注視したため、ヒトラーの断末魔に似た狂気と、壮絶な自殺、そしてユダヤ人説を思い起してしまったためです。初めてヒトラーが登場する映画を観たのは、小学生のころ。映画のタイトルは忘れてしまったのですが、レジスタンス側から描いた内容だったと記憶しています。それ以降、ヒトラーが登場する映画は色々と観てきましたが、全て連合国側から描いたものだったので、この映画は衝撃的でした。
とにかく全編ドイツ語であることが新鮮だった(当たり前か)。ユダヤ人大量虐殺や戦争犯罪についても全く触れないことは賛否両論になるのかもしれないけど、秘書ユンゲからの視点で描いたものであり、ばっさりと切り捨てたことは、史実を周知のこととしているためでしょう。降伏という進言を全く受け入れずに毅然とした態度を取る人間ヒトラーを英雄視する人も若干生まれると考えられるけど、「国民を生かすことに意味はない」と断言するシーンもあることから、ナチ賛美や共感を与える目的で作られたのではないハズです。
医者が手足を切断する映像といい、生々しい自決のシーンといい、反戦を訴える映画には間違いないのですが、一瞬ではあるけど、「まるで被害者のように」と感じてしまった自分を反省いたします。こう感じてしまったら『火垂るの墓』を「まるで戦争被害者!」と言って非難することと変わりないですよね。淡々とした流れで、人間ヒトラーと周囲の将校、官僚が中心となってしまったことには問題あるかもしれないけれど、ラストのユンゲ自身の独白によりモヤモヤした疑問は一掃されました。とにかく、昔は天使だったガンツのヒトラーをはじめ、狂気としか思えないゲッベルス夫人の演技によって、崩壊する帝国と人間性が重くのしかかり、現代社会への警鐘をも感じました。しっかりと目を見開いて為政者の行動を注意しなければ!と、今朝の新聞はテレビ欄しか見ていない者が言うべき台詞ではないな・・・
第三帝国の終焉と「おとしまえ」
ヒトラー自殺前後の 組織が崩壊してゆく様子が、緊迫感を持って語られ 興味深い
ドイツ人の真面目で不器用な、そして民族的自負が生み出してしまった「総統」と「組織」の様に思われる
終末に向かって、内部も混乱し 総統が正気を維持してゆくのが、困難になりつつある様子を克明に描いている
ブルーノ・ガンツも 歴史的大罪を犯しながら、周囲の者とドイツ民衆を魅了してしまった、悪魔的人たらしを 不気味に演じている
名演だろう
ゲッベルス夫人は、美人で 子沢山なことからナチのプロパガンダに利用された(夫はDV)
夫妻はともかく、子供達を毒殺してしまったことは プロパガンダの後始末をあっさり済ませてしまう様で、哀しくもある
(後世に残る 夫のおぞましい犯罪が子供にもたらす影響をも、考えてか… )
エヴァ、ゲッべルス夫人、その他 周囲の女達は正気そうで、彼女等が 男達の暴走を止められなかった時代を感じる
総統への盲目的追従で 自殺する軍人は安直で、ともすれば宗教的ですらある
さもなければ自己中心的、このどちらかであろう
後始末をする者、連合軍との交渉にあたる者が ナチスの中にあっても、指揮系統としては まともであることが判る
現在、罪悪感と企業の思惑が絡み、大量の移民を受け入れたドイツ発の混乱が、またヨーロッパに広がるのを見ると、ユンゲの言う「目を見開いて、見る」ことの難しさを思う
エンドロールに映し出される、各々の人生の行く末も 心に残ったが、やはりヒトラーの残酷さと犬死にしたドイツ兵や一般人、そして大量の収容所の人々の悲惨な人生を想わずに 観ることは出来ない
ユダヤ人にも問題は かなり、ある
が、人々の憎悪と悪魔が結びついた時、とてつもない惨劇が起こることを 思う
そして、被害者であることを 政治利用するのも 新たなリスクであると
悲惨です…
分かってはいるんだけど、悲しすぎる…。
今までイメージでしかなかった地下壕の様子がきちんとした映像で見れて勉強になる。
ヒトラー、ゲッベルズ、またゲッベルズの奥さんまで似すぎでしょ?!
まだまだ登場人物で誰?って人が多いので今後も何度か見直す予定だが、最後が悲惨すぎて、再び観るのに勇気のいる作品。
ヒトラーの呆気ない自殺。
ヒトラーの元で秘書をしていた女性の視点で、ヒトラーの最後を描いた作品。
秘書を雇い入れ指導する姿は、優しく温和な上司といった感じ。
独裁者という言葉は微塵も感じさせず、人間味あふれる男にしか見えません。
しかし、彼の下す命令により数多くの人々が苦しんで来たことは事実。
敗戦が決定的になり、ヒトラーは自殺という選択をしますが、その事でどれだけの人が苦しめられてきたことか…。
幼いヒトラーの子供達までもが服毒自殺させられ、ヒトラーの妻も自殺するという結果は、どうにも遣る瀬無い悲しみで胸が一杯になりました。
降伏か自殺か、残された部下たちの選択が皆違っているところが印象深いです。
史実の理解に
実際に起こっていたであろう最期の様子を丁寧に描写していると思います。独裁者が情報を正しく理解せず周囲から孤立する様子は現代の社会でも頻繁に見られる光景で自分がもしその横にいる立場だったらどう行動するのかを考えさせられました。
ヒトラー 〜最期の12日間〜
丁寧な画像だ。
兵士「市民軍は敵の餌食です、武器がなければ犬死です」
ゲッベルス大臣「同情しない、我々は国民に強制はしていない。彼等が我々に委ねたのだ。自業自得さ」
何時だつて戦争は政治家と軍人の勝手で始まり、自国民に大量の犠牲者を出すだけ。
大戦の死者は5000万人、そして600万人のユダヤ人が殺された。
プルーノ・ガンツ名演
総合80点 ( ストーリー:70点|キャスト:85点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:65点 )
迫力の演技・演出・映像だった。特にヒトラーを演じたブルーノ・ガンツは名演だった。独裁者ゆえに恐れられて正確な情報の報告をしてもらえず、現実と自分の夢想との違いに激怒して、自分が原因を作っているのに他人をひたすら批判する。現実を知らないまま、知っていても認め難く、夢想のほうを現実と思いたがる。破滅の極限に追い込まれた独裁者の典型的な姿だが、これほどの有名人の最後の様を見事に演じていた。ヒトラーというこの役を引き受けるにはかなりの葛藤があったと本人が会見で言っていたが、結果としては見事にはまり役だった。
周囲の登場人物の演技も良かったし、本部内の描写や戦闘場面も美術が良く出来ていた。全体として質感の高い作品に仕上がっていた。
物語は破滅に向かう限定的な時間・空間のことなので、その様子の描写に緊迫感があったものの話に大きな動きはない。また当時の情勢とヒトラーの側近について基本的知識が無いと理解が浅くなるので、人によっては入り込めないし難しいと思うかもしれない。でも物語よりも当時の様子を再現した演技と緊迫感に見応えがある。
一人間としての独裁者
時代背景を学んでから見ると面白いのだろうが予備知識無しだと関係性や諸々分かりづらいかもしれない。映像でしか見た事が無いがヒトラー似てる。敗戦色の中、兵士達そして1人の人間としての独裁者の姿が描かれている。この作品から興味を持ちナチス政権下ドイツを調べてみると社会福祉に熱心に取り組む姿など意外な点も多く面白かった。
映画的には決して良くはないが
これまで悪魔的な方向へ誇大表現されてきた感のあるヒトラーや周辺の人々の姿をリアリティをもって描いているところにこの映画のオリジナリティがある。
だがヒトラーを中心とする人間描写が優れている一方で、ヒトラー・ユーゲントや酒盛りに耽る将校の姿はかなり表面的な印象を受けた。物語的にも起伏が少なく、ヒトラーの自殺後の数十分の尺は蛇足のように感じた。
かくも悲惨な戦争敗者。 逃亡する者、未だ勝利を盲信する者、現実を受...
かくも悲惨な戦争敗者。
逃亡する者、未だ勝利を盲信する者、現実を受け入れ自殺する者、まだまだ筆舌には尽くしがたい。私がとりわけ印象に残ったのは、ゲッペルス夫人。その恐ろしい行為には目を背けたくなった。
当時の日本もきっと同じように悲惨だったんでしょうね。
にしてもこのての映画にはよく登場しますね、エロゲロ酒場(笑)それしか楽しみがないという点でもやっぱり悲惨。
主演の女優さん、いかにもドイツ的超美人と思ったら、ルーマニア人だったとは(笑)
見えぬ、独裁者の素顔
総統は私生活では優しく、細やかな気配りのできる人だった。
しかし、軍務・政務となると独裁者となる。
きっと人並み外れて、他人の考えや感情に敏感だからこそ、人の感情と思考に大きな影響を与えることができたのだろう。そして、深く理解するからこそ、猜疑心が大きくなり独裁、恐怖政治へと向かっていくのだろう。
この映画を観る限り、終戦直前のベルリンの人々はみな本気だった、真剣だった。だけど、ヒトラーは国民を裏切っていた。
ということか。
●ドイツから見た終戦。
なんとも救いがないというか。史実に基づく再現らしいがツライ。
日本の大本営もクソだけど、ドイツもヒドイな。
誰も責任取らない合議制と、ひとりの絶対意思による暴走。
いずれも洗脳の怖さよ。極限下では思考停止する。視野は狭くなるばかり。
ユンゲさん曰く「目を見開いていれば気づけたのだ」というが。
緩急使い分ける総統。自殺してくれてホッとした。
戦争とは、じいさんが始めて、おっさんが命令して、若者が死んでいくもの。
大橋巨泉が言ってたけど、ホントその通り。
戦車やっつけた少年が、機を見るに敏だったのは、せめてもの救い。
この映画の隠れたキーマンだ。そうして若者が未来をつくる。
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