ヒトラー 最期の12日間のレビュー・感想・評価
全47件中、21~40件目を表示
冷静な視座が胸に迫る傑作
『ジョジョ・ラビット』鑑賞後に見たくなったので再鑑。
涙の出ない感動ってあるんだなぁと想いに耽りながら夜道を歩いたあの頃を思い出した(笑)
ヒトラーの秘書・ユンゲの視点を中心にして「最期の12日間」を淡々と描く作品。
この、「淡々」感が物凄く、映画として最低限の演出は織り込みながら、ウェットなドラマ感を徹底的に排していて素敵。 最低限の演出=自転車(笑)
どんなジャンルでも声高にテーマを押し付けられると萎えるものだと思うが、本作にはそれが無い。それだけに、突きつけられた「もの」を真剣に考えてしまうのだ。
ヒトラーだけでなく、政治、軍事の高官や無名の市民たちの「12日間」も描かれており、良質な群像劇、歴史劇と言って良いと思う。
そういう意味では邦題より原題の方がしっくりくるな。
(「崩壊」「滅亡」という意味らしい。)
とにかく、主演のブルーノ・ガンツを素晴らしい演技を筆頭に、「その時」を再現しようとする丁寧な映画つくりは圧巻の一言。
後からロケ地がロシア(敗残のドイツ兵もロシアのエキストラ!)と聞いて、何とも言えぬ気分にはなったがな(笑) (もちろん、映画の素晴らしさに水を差すものではないですよ)
色々とパロディーに引用されている作品
まぁまぁリアル。
ヒトラーの最期を描いたものとして、しばしば言及されることがある作品ですが、まだ未見でした。Amazonプライム・ビデオであったので見てみました。
色々と調べると、“概ね”史実通りなのだそうです。ヒトラーはね、最後、パーキンソン病であったと言う話がありますが、そのことを示すように手が震えていたり、細かいところまで描かれています。また、ヒトラーは、子どもや女性には優しかったと伝わっていますが、この作品でも、そのように描かれています。
って言うか、もう最後の方は、総統地下壕の中は、もはや敗残兵の集まりですね。総統がすぐ近くにいるのに、酒盛りばかりしていて。エヴァ・ブラウンも、そこに参加していたりしていたりしてね。もう、なんだかな。本当に、ああいう感じだったんでしょうかね?
対比するわけじゃ無いですが、って言うか対比ですが、日本軍は、末端の部隊は判りませんが、日本の本土に残った司令部は、あんな感じじゃ無かったですよね?実際の映像が残っているわけでは無いので、本当のところを見る事は出来ませんが、少なくとも映画などで描かれているのは、そうでは無かった。意外な違いを見た気がします。
アドルフ・ヒトラーはユダヤ人だった!という仮説は大好きなのですが、それを想像させるシーンもあった・・・
それはエヴァとの質素な結婚式。「汝はアーリア人か?」と訊かれた瞬間のやりとりで、絶妙の間にゾクゾクしてしまった。実際にはその点を突くようなストーリーではありません。今まで観てきた映画、書籍、漫画の知識を総動員して注視したため、ヒトラーの断末魔に似た狂気と、壮絶な自殺、そしてユダヤ人説を思い起してしまったためです。初めてヒトラーが登場する映画を観たのは、小学生のころ。映画のタイトルは忘れてしまったのですが、レジスタンス側から描いた内容だったと記憶しています。それ以降、ヒトラーが登場する映画は色々と観てきましたが、全て連合国側から描いたものだったので、この映画は衝撃的でした。
とにかく全編ドイツ語であることが新鮮だった(当たり前か)。ユダヤ人大量虐殺や戦争犯罪についても全く触れないことは賛否両論になるのかもしれないけど、秘書ユンゲからの視点で描いたものであり、ばっさりと切り捨てたことは、史実を周知のこととしているためでしょう。降伏という進言を全く受け入れずに毅然とした態度を取る人間ヒトラーを英雄視する人も若干生まれると考えられるけど、「国民を生かすことに意味はない」と断言するシーンもあることから、ナチ賛美や共感を与える目的で作られたのではないハズです。
医者が手足を切断する映像といい、生々しい自決のシーンといい、反戦を訴える映画には間違いないのですが、一瞬ではあるけど、「まるで被害者のように」と感じてしまった自分を反省いたします。こう感じてしまったら『火垂るの墓』を「まるで戦争被害者!」と言って非難することと変わりないですよね。淡々とした流れで、人間ヒトラーと周囲の将校、官僚が中心となってしまったことには問題あるかもしれないけれど、ラストのユンゲ自身の独白によりモヤモヤした疑問は一掃されました。とにかく、昔は天使だったガンツのヒトラーをはじめ、狂気としか思えないゲッベルス夫人の演技によって、崩壊する帝国と人間性が重くのしかかり、現代社会への警鐘をも感じました。しっかりと目を見開いて為政者の行動を注意しなければ!と、今朝の新聞はテレビ欄しか見ていない者が言うべき台詞ではないな・・・
第三帝国の終焉と「おとしまえ」
ヒトラー自殺前後の 組織が崩壊してゆく様子が、緊迫感を持って語られ 興味深い
ドイツ人の真面目で不器用な、そして民族的自負が生み出してしまった「総統」と「組織」の様に思われる
終末に向かって、内部も混乱し 総統が正気を維持してゆくのが、困難になりつつある様子を克明に描いている
ブルーノ・ガンツも 歴史的大罪を犯しながら、周囲の者とドイツ民衆を魅了してしまった、悪魔的人たらしを 不気味に演じている
名演だろう
ゲッベルス夫人は、美人で 子沢山なことからナチのプロパガンダに利用された(夫はDV)
夫妻はともかく、子供達を毒殺してしまったことは プロパガンダの後始末をあっさり済ませてしまう様で、哀しくもある
(後世に残る 夫のおぞましい犯罪が子供にもたらす影響をも、考えてか… )
エヴァ、ゲッべルス夫人、その他 周囲の女達は正気そうで、彼女等が 男達の暴走を止められなかった時代を感じる
総統への盲目的追従で 自殺する軍人は安直で、ともすれば宗教的ですらある
さもなければ自己中心的、このどちらかであろう
後始末をする者、連合軍との交渉にあたる者が ナチスの中にあっても、指揮系統としては まともであることが判る
現在、罪悪感と企業の思惑が絡み、大量の移民を受け入れたドイツ発の混乱が、またヨーロッパに広がるのを見ると、ユンゲの言う「目を見開いて、見る」ことの難しさを思う
エンドロールに映し出される、各々の人生の行く末も 心に残ったが、やはりヒトラーの残酷さと犬死にしたドイツ兵や一般人、そして大量の収容所の人々の悲惨な人生を想わずに 観ることは出来ない
ユダヤ人にも問題は かなり、ある
が、人々の憎悪と悪魔が結びついた時、とてつもない惨劇が起こることを 思う
そして、被害者であることを 政治利用するのも 新たなリスクであると
悲惨です…
ヒトラーの呆気ない自殺。
史実の理解に
ヒトラー 〜最期の12日間〜
プルーノ・ガンツ名演
総合80点 ( ストーリー:70点|キャスト:85点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:65点 )
迫力の演技・演出・映像だった。特にヒトラーを演じたブルーノ・ガンツは名演だった。独裁者ゆえに恐れられて正確な情報の報告をしてもらえず、現実と自分の夢想との違いに激怒して、自分が原因を作っているのに他人をひたすら批判する。現実を知らないまま、知っていても認め難く、夢想のほうを現実と思いたがる。破滅の極限に追い込まれた独裁者の典型的な姿だが、これほどの有名人の最後の様を見事に演じていた。ヒトラーというこの役を引き受けるにはかなりの葛藤があったと本人が会見で言っていたが、結果としては見事にはまり役だった。
周囲の登場人物の演技も良かったし、本部内の描写や戦闘場面も美術が良く出来ていた。全体として質感の高い作品に仕上がっていた。
物語は破滅に向かう限定的な時間・空間のことなので、その様子の描写に緊迫感があったものの話に大きな動きはない。また当時の情勢とヒトラーの側近について基本的知識が無いと理解が浅くなるので、人によっては入り込めないし難しいと思うかもしれない。でも物語よりも当時の様子を再現した演技と緊迫感に見応えがある。
一人間としての独裁者
映画的には決して良くはないが
これまで悪魔的な方向へ誇大表現されてきた感のあるヒトラーや周辺の人々の姿をリアリティをもって描いているところにこの映画のオリジナリティがある。
だがヒトラーを中心とする人間描写が優れている一方で、ヒトラー・ユーゲントや酒盛りに耽る将校の姿はかなり表面的な印象を受けた。物語的にも起伏が少なく、ヒトラーの自殺後の数十分の尺は蛇足のように感じた。
かくも悲惨な戦争敗者。 逃亡する者、未だ勝利を盲信する者、現実を受...
見えぬ、独裁者の素顔
●ドイツから見た終戦。
全47件中、21~40件目を表示