劇場公開日 2005年7月9日

「タイトルなし」ヒトラー 最期の12日間 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 タイトルなし

2025年9月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ヒトラー 〜最期の12日間〜
2004年公開 ドイツ、オーストリア、イタリア合作

名作です

長く映画の歴史に残る作品だと思います

600万人のユダヤ人が収容所で殺害され、死者5000万人以上の第二次世界大戦を引き起こした張本人ヒトラーの最期はどういうものであったかを描いています
日本人としては、どのような立場で観たらよいものか少々悩みます

主人公のひとり秘書のユンゲはドイツ人として映画の最後にこう語ります「若かったというのは、言い訳にならない、目を見開いていれば、気づけたのだと」
第二次世界大戦を引き起こしユダヤ人を大量殺戮した人物のそばにいたことで、自分にも責任の一端があると感じていると

戦勝国のアメリカ人やロシア人なら?
ざまみろ!溜飲がさがった!自殺しやがって!責任から逃げやがった!
でしょうか?
俺達がナチを粉砕した!
二度とファシズムが復活しないようにする責任がある!
とか?

ユダヤ人や、ヨーロッパのドイツ被占領国の方なら?

言葉にもできない怒りだけでしょうか?
ドイツ人は全員死ぬべきだ!とか?

同じ敗戦国のイタリア人なら?

ムッソリーニと同じように吊されるべきだ!でしょうか?

では日本人は?
ヒトラーのように国民を見捨てない天皇陛下がおられたことの幸せをまず感じます
「日本の一番長い1日」と本作との大きな隔たりを感じます
もし、降伏せず、本土決戦になっていたなら、本作のような展開が、東京か、疎開先の松代かどこかであったことでしょう
戦争をほぼ日本人全員が支持していたのですから、国民に責任は無いというのは左翼の人々でなくても、さすがに無理があると思います
終盤、ユンゲのこぐ自転車に一緒に乗っていたドイツの軍国少年にも戦争責任はあったのでしょうか?
ゲッペルスの母親に毒殺される六人の幼女達にも戦争責任はあったのでしょうか?

しかし、大人であっても日本は都市をことごとく焼け野原にされ、原爆まで落とされて十分に罰は受けたと思います
東京裁判で戦犯とされたものは処刑もされました
戦後に生まれた私達にこれ以上責任をとろうにもとりようがありません
そうではない!
日本人は永久に戦犯国民で謝り続けないとならないのだという人もいるようです

二度と戦争を起こさないという責任の取り方もあります
しかし、それでも一方的に攻めて来られたならそれはその限りではないと思います

今日は2025年9月2日です
80年前、日本が正式に降伏文書に署名した日です
明日9月3日北京では軍事パレードがあるそうです
中国とロシアと北朝鮮などの首脳がそれを貴賓席から誇らしげに閲兵するのでしょう
日本が本作のような滅亡にいたることは、一方的な侵略を受けて日本が滅亡する時でしょう

ウクライナ戦争は3年半を過ぎて、ロシア軍は行き詰まり、戦局は逆転してウクライナがプーチンを追い詰める事が起こりそうな展開になってきました
本作のヒトラーがプーチンと被って仕方ありません
クレムリンの地下壕で本作のように、将軍達に癇癪をぶちまけているように思えてなりません
ロシアが負けてプーチンに最後の日々が訪れるように希望する
それが戦後生まれの日本人の本作への立場だと思いました

そういう展開ではなく、ウクライナが敗戦してロシアに占領されたなら?
次はヨーロッパ諸国へのロシアの侵攻がはじまるでしょう
ドイツは日本と同じ敗戦国でしたが、国軍を再建しただけでなく、ウクライナ戦争の行方を見て徴兵制まで復活させようとしています
これはファシズムの復活なのでしょうか?

台湾有事の時、日本はどうなるのでしょうか?

あき240
PR U-NEXTで本編を観る