「熱い男のドラマ。」炎のメモリアル mori2さんの映画レビュー(感想・評価)
熱い男のドラマ。
消防士を描いた映画で有名なモノと言えば、「バックドラフト」があります。しかし本作は、これまでの消防士を描いた映画の中で、最も素晴しい作品ではないかと吾輩は思います。熱い男のドラマであり、家族愛を描いた感動作でもあります。
この映画はそもそも、あの“9.11”の際に自らの危険を顧みず、現場に急行し多大なる犠牲を払いながらも、人命救助に当たり続けた消防士たちに、リスペクトの意を込めて製作されました。だからと言うわけではないでしょうが、観ていて『アメリカ万歳!』的な感覚や、意図的に『泣かせてやろう』と感じさせる演出が為されている部分が幾つか目に付きました。トラボルタや、ホアキンがあまり消防士らしく見えない(笑)といった点も、この映画のマイナス的な要素ではあると思います。
しかし、思想や国土がどうであれ、一度火災が発生すると消防士たちはどんな危険にもひるむことなく、消火・救助活動に赴く。例えそのことによって自らの命が犠牲になろうとも、彼らはプロとして、その生き方を貫き通す…。この映画を観ていて吾輩は、その点にとても大きな感動を覚えました。もちろん彼等にも、愛する守るべき家族がいます。しかし、家族にとってヒーローである彼等も、実は普通の人間に過ぎない…そういった苦悩もうまく織り込んで描かれていて、共感がもてました。仕事を、家族を愛し自らの信条と生き方を、愛する我が子に示して逝ってしまう…。そんな彼らの生き方に思わず目頭が熱くなりました。
ストーリーは平板で、取り立てて目を惹くような作りではありませんが、この映画の根底に流れている“消防士に対する敬意”という思いが、この映画を力強い感動作に仕上げていると思います。