「コーラスの素晴らしさに満ち溢れたフランス映画の秀編」コーラス Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
コーラスの素晴らしさに満ち溢れたフランス映画の秀編
クリックして本文を読む
音楽教師の不屈の人間愛が、ひとりの高名な指揮者を生む物語。
今は指揮者として活躍する音楽家と養子になった老人、ふたりの男が追憶する1947年のある寄宿学校の生活。映画の主人公は作曲家の夢を諦めきれない音楽教師。赴任して直ぐに校長の冷酷さと生徒の悪行の洗礼を受けるが、生来の人間愛と音楽愛で問題児を温かく包み込んでいく姿が美しい。当時の学校教育の闇に射すひかりを、素晴らしいコーラスナンバーで綴るこのフランス映画の、映画と音楽に捧げた映画愛が堪らない。善人を絵に描いたような主人公が、生徒の母親の面会で見せる男のいじらしさもとても人間的。「ニュー・シネマ・パラダイス」のジャック・ぺランが製作と指揮者役を兼ねているが、映画話法の類似性高く、観るものに与える感動性も引けを取らない。フォーレ「夜」のジャン・バディスト・モニエのソロの美しさに聞き惚れ、解雇された主人公に空から舞い落ちる子供たちの惜別の「紙飛行機」に胸打たれる。ジェラール・ジュニョの人間味ある演技もラストの終わり方も素晴らしい。
コメントする