「意外と評価低くてビックリだよ」ステップフォード・ワイフ といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
意外と評価低くてビックリだよ
某映画レビューユーチューバーさんが紹介していた本作。ざっくりしたあらすじは知っている状態で鑑賞いたしました。
結論、めっちゃ面白いですよ。なんで評価がイマイチなんだろう。不思議です。
「男女の性別役割分業」であったり「女性の地位」であったり「LGBTなどの性的マイノリティ」であったり、最近特に話題になっているポリティカルコレクトネスやジェンダー問題がストーリーの根幹にあるので全く古さを感じさせないんですが、原作小説は1972年に刊行された、50年近く前の作品です。これが50年前の作品だと思うと、本当に不思議な気分になりますね。
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テレビ局の敏腕プロデューサーとして活躍していたジョアンナ(ニコール・キッドマン)は、視聴率を求めて過激な番組を作ってきたことが災いして番組出演者の男性から怒りを買ってしまい、番組制作発表のステージ上で銃撃を受けるという事件が発生する。ジョアンナに怪我はなかったものの、事件の責任を取らされてテレビ局をクビになってしまった。テレビ局の副局長でジョアンナの夫であるウォルター(マシュー・ブロデリック)は、自らもテレビ局を退社し、ジョアンナと共に新しい土地でやり直そうと決意する。住み慣れたニューヨークを離れ、由緒正しい豪華な住宅街であるステップフォードに引っ越してきた二人であったが、ステップフォードの女性たちはお洒落で美人でスタイルが良く家事もこなせる万能な女性しかいないことに、どこか違和感を感じるのであった。
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序盤は男性を蔑視するような過激な番組を多く手掛けてきた敏腕プロデューサーであるジョアンナの転落が描かれます。その過激な内容故に多くの男性から批判を受け、特に番組に出演した男性からは強い恨みを買っていたために、新番組の製作発表会が銃撃事件に発展してしまう。このあたりの展開は、全くと言っていいほど古臭さは感じられません。どんどんと過激になっていく番組制作は犯罪スレスレの動画を制作して再生数を稼ぐユーチューバーのような雰囲気を感じてしまいますし、銃撃事件もネタにして新たな番組を作ろうと商魂たくましく画策している描写なんかは、まんま「炎上マーケティング」です。「歴史は繰り返す」とはよく言ったものですね。
ジョアンナは銃撃事件の責任を取らされてテレビ局をクビになり、精神的に参ってしまってふさぎ込みます。それを見かねた夫のウォルターは自身も退職して、心機一転のためにニューヨークから豪華な住宅地であるステップフォードに引っ越す。ここまでは一見普通のホームドラマのように感じますが、ここから雰囲気が一転。ステップフォードに住む妻たちは、みんな似たような髪型で似たような可愛らしい衣装で夫に献身的に尽くす「理想の妻」ばかりであることに気が付きます。貼り付けたような笑みを浮かべて生気が感じられない彼女らを見て、ジョアンナは違和感を抱きます。
この辺のどことなく感じられる恐怖の演出は上手かったですね。ジョアンナが町に違和感を感じると同時に観客も違和感を抱き、恐怖を感じさせるような描写が非常に良かったと思います。
これ以降はネタバレになるので書きませんが、後半には意外な真相が明らかになるどんでん返しもあり、ラストのオチにはクスッとさせられるので、私は非常に楽しめました。
「下ネタが不快」という意見が多かったのが結構意外でした。私個人の意見ですが、そんなに下ネタがキツいようには感じませんでしたね。多分、直前に『ブックスマート』を鑑賞していたからかもしれません。ブックスマートは結構エグい下ネタあるので。
せいぜい、ご近所さんの家に入ってみたら女性の嬌声が聞こえてきて「昼間からお盛んねぇ」とか言うくらいの下ネタだったので、これで「下ネタが不快」って評価下げられるのもなんだか可哀想に思います。
とにかく、私は本作を楽しむことができましたし、最近話題のジェンダーやポリコレ要素を包含しつつもコメディとして楽しめる名作だったと思います。多少の下ネタが大丈夫であれば、ぜひ鑑賞していただきたい名作です。オススメです!!