灯台守の恋のレビュー・感想・評価
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「お~いら岬の~♪灯台守は~♪」という歌でもお馴染みの灯台守の物語。
ついつい木下恵介作品の『喜びも悲しみも幾歳月』と比較して観てしまいました。結局、共通点は灯台守という職業だけでしたが、日本とフランスの生活様式の相違点などを少しだけ考えさせられました。
日本は仏教の国。だけど、家族の繋がり、家父長制度の名残などを考えてみると、儒教思想が根底に含まれているかと思います(もちろん、日本史や宗教史はド素人ですので、見当ハズレかもしれません)。日仏同じように灯台守の職に就く者は家族全体で引越しして赴任地で活躍する。しかし、フランスでは、父は家族を守り、家族は父を敬うといった家族愛よりは、個人を尊重する傾向が感じられました。そして当時は、終身雇用制度が当然のことのようにとられていた日本とは違い、非番の時にはバイトして稼ぐことが自由なフランス。そうした土壌の違いによって、禁断の愛なるテーマがこの映画の中心になっているのかもしれません。
回想形式をとって、よそ者であるアントワーヌとマベの恋。マベの夫であるイヴォンがその不倫を知っているようでもあり、知らないようでもあり、仕事中はそんなことも忘れて灯台守の職務を全うする姿。よそ者であるが故に仲間であるはずの灯台守からアントワーヌが追放されそうになったり嫌がらせされたりと、封建的・排他的な村の人々をシニカルに描いています。陸続きの灯台ではないため迫力ある映像や絵に描いたかのような夕陽の映像、そしてみんなペットである猫バンコーによって癒される。花火によって禁断の愛を盛り上げるところなんて、日本人にもウケそうなところでした。
最も印象に残る男はイヴォン(フィリップ・トレトン)です。最初はデニス・クエイド似かな~などと思ったのですが、性格はビリー・ボブ・ソーントン似。次第にサム・ニールに似ているような気がしてきました。小物であるアコーディオンが印象に残るのですけど、実は彼がアコーディオンの名手だったなんていう伏線があればもっと良かったかな・・・
【2006年2月映画館にて】
灯台守の人生の荒波
ブルターニュ地方の辺境の島を舞台に、ケルト人の子孫たちの保守的な生活と自然の猛威と闘う灯台守の仕事を見せながら、人妻マベとアルジェリア帰りのアントワーヌの恋を描く。二人の間に生まれたカミーユが、父アントワーヌから送られた著書を読むことで物語が追憶される。マベの妹ジャンヌの記憶も重なる。1963年の時代設定はスーパーで分かるが、映像上には表現しきれていない。灯台内の生活空間は興味を持って見ることが出来る。子供に恵まれなかった夫婦の間に割り込んでの不倫もののストーリーは、如何にも二流の小説と云えるが、フランス映画だから許せるギリギリのところの作品。フィリップ・リオレ演出に特筆すべき力量は感じられず。
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