灯台守の恋

劇場公開日:

解説

60年代のフランスの小さな村を舞台に、よそ者の青年が村の人妻と許されぬ恋に落ちる大人の恋愛物語。出演は、フランス映画界を代表する実力派女優サンドリーヌ・ボネール、「今日から始まる」のフィリップ・トレトン、「ボン・ボヤージュ」でセザール賞最有望新人男優賞を受賞したグレゴリ・デランジェール。監督は「パリ空港の人々」のフィリップ・リオレ。

2004年製作/104分/フランス
原題または英題:L'equipier
配給:エレファント・ピクチャー
劇場公開日:2005年11月5日

ストーリー

カミーユ(アン・コンザイニー)は生まれ故郷のブルターニュ地方ウエッサン島に戻ってくる。もう今は亡くなってしまっている両親の家を売却するためだ。カミーユと伯母のジャンヌ(マルティーヌ・サルセイ)の二人はその家で最後の夜を過ごすことになる。カミーユは、一冊の本を受け取る。その本はアントワーヌ・カッサンディ著“私の世界の果て”。表紙のイラストが、父親が灯台守をしていたジュマン灯台に似ているのと、伯母の態度が気になった彼女は、その本を読みはじめる。そして、父と母の秘密を知ることになる―。1963年、“世界の果て”と呼ばれるブルターニュ海岸の辺境ウエッサン。ある男が島にやってきて、カミーユの父イヴォン(フィリップ・トレトン)が率いる灯台守たちの一団に加わる。男の名はアントワーヌ(グレゴリ・デランジェール)、アルジェリア戦争帰還兵で、左手を負傷していた。村人は昔イギリスから渡ってきたケルト人の子孫として結束が固い。彼は村人の強烈な敵意に対峙するが、その敵対心を理解し、彼らの拒絶を受け入れ、尊重すらしてゆっくりと耐えていた。静かな微笑をたたえて。そんなとき、イヴォンはアントワーヌと一緒に働き始める。大きな波が灯台に当たっては砕け、天候はあまりにもすさまじく、いっときも心休まるときがない過酷な状況のなか、塔の中でずっと明かりを灯し続ける二人の灯台守。イヴォンは、アントワーヌの人柄を知り、友人として彼を村に迎え入れるが、その後一人の女性がアントワーヌと恋におちてしまう。だが、それはイヴォンの妻マベ(サンドリーヌ・ボネール)だった。マベは、本好きな母の影響もあり、ブルターニュの外の街へ出てみたかった。しかし、代々ジュマン灯台を守る厳格な父のために、灯台守のイヴォンと結婚し、二人でジュマン灯台を守っていく決意をした。イヴォンはマベのために過酷な灯台守の任務についた男だった。無骨で寡黙だが、誰よりも深くマベを愛していた。しかしふたりには、灯台守を継ぐべき子供ができないという悩みがあった。マベの貧しくも幸福な日々に、心を惑わす男が現れた。アントワーヌだった。元時計職人の彼は、繊細な手つきでマベのアコーディオンや自転車を修理し、やさしい微笑の裏側で時折翳りを見せた。抑えられた情熱とイヴォンの存在が、ふたりを思いとどまらせていた。そんなとき、村の祭りが開かれた。20歳のブリジット(エミリー・デュケンヌ)は、小さな島での暮しに死ぬほど退屈し、婚約者がいるにもかかわらず、アントワーヌに誘いをかける。婚約者は激怒し、アントワーヌを激しく殴打する。心配するマベ。祭りの喧騒と喧嘩の後の熱に浮かされてか、ふたりは堰を切ったように木陰で激しく抱き合うが。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0「お~いら岬の~♪灯台守は~♪」という歌でもお馴染みの灯台守の物語。

2021年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ついつい木下恵介作品の『喜びも悲しみも幾歳月』と比較して観てしまいました。結局、共通点は灯台守という職業だけでしたが、日本とフランスの生活様式の相違点などを少しだけ考えさせられました。

 日本は仏教の国。だけど、家族の繋がり、家父長制度の名残などを考えてみると、儒教思想が根底に含まれているかと思います(もちろん、日本史や宗教史はド素人ですので、見当ハズレかもしれません)。日仏同じように灯台守の職に就く者は家族全体で引越しして赴任地で活躍する。しかし、フランスでは、父は家族を守り、家族は父を敬うといった家族愛よりは、個人を尊重する傾向が感じられました。そして当時は、終身雇用制度が当然のことのようにとられていた日本とは違い、非番の時にはバイトして稼ぐことが自由なフランス。そうした土壌の違いによって、禁断の愛なるテーマがこの映画の中心になっているのかもしれません。

 回想形式をとって、よそ者であるアントワーヌとマベの恋。マベの夫であるイヴォンがその不倫を知っているようでもあり、知らないようでもあり、仕事中はそんなことも忘れて灯台守の職務を全うする姿。よそ者であるが故に仲間であるはずの灯台守からアントワーヌが追放されそうになったり嫌がらせされたりと、封建的・排他的な村の人々をシニカルに描いています。陸続きの灯台ではないため迫力ある映像や絵に描いたかのような夕陽の映像、そしてみんなペットである猫バンコーによって癒される。花火によって禁断の愛を盛り上げるところなんて、日本人にもウケそうなところでした。

 最も印象に残る男はイヴォン(フィリップ・トレトン)です。最初はデニス・クエイド似かな~などと思ったのですが、性格はビリー・ボブ・ソーントン似。次第にサム・ニールに似ているような気がしてきました。小物であるアコーディオンが印象に残るのですけど、実は彼がアコーディオンの名手だったなんていう伏線があればもっと良かったかな・・・

【2006年2月映画館にて】

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kossy

3.0灯台守の人生の荒波

2020年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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Gustav