ハッドのレビュー・感想・評価
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クソ野郎ハッド。実の父からも疎まれるクソっぷり。話が流れ、その原因...
クソ野郎ハッド。実の父からも疎まれるクソっぷり。話が流れ、その原因や更生が描かれると思いきや、最後までクソ野郎を貫き通してしまった。
なんたる異色作。それゆえ本作に嫌悪感を感じる人がいるかもしれない。でもポール・ニューマンが演じているからか、なんか魅力的に見えてしまうから不思議。
寂れる西部の牧場を舞台にした人間模様
テキサスで牧場を経営するバノン家の次男ハッドを主人公に、父と子の確執、家畜伝染病口蹄疫に侵される不運、家政婦アルマとのすれ違い、甥ロンの離反など、人生の歯車が狂う男の虚しさを描いた西部劇。広大な土地を石油会社に売るエピソードでは、ジェームズ・ディーンの「ジャイアンツ」の時代と変わらないテキサスの姿がある。アカデミー賞ではパトリシア・ニールが主演女優賞、父役のメルヴィン・ダグラスが助演男優賞を得ている。主演のポール・ニューマンとロン役のブランドン・デ・ワイルドが悪いわけではない。飲酒運転の事故で兄を死なせたこと以外に父の信頼を失っていたハッドの内面描写が弱く、結局は一人ぼっちになる自業自得の役柄の曖昧さが、ニューマンに最良の演技をさせていないし、女と酒に溺れる自分勝手なハッドの役柄も、映画の最初からニューマンの個性と噛み合っていない。ワイルドは「シェーン」の名演とは比較できないが、叔父を慕いながらも反発していく年頃の少年の繊細さは表現している。見所は、待ちわび過ぎて耐え切れなくなる女の気怠さを抑えた色気で魅せるニールの演技と、空気が沈んだようなテキサスの景色を捉えたジェームズ・ウォン・ハウのキャメラ。
演劇の趣向が優先のマーティン・リットの演出は手堅く、ストーリーの流れが冗長な脚本が勿体ない出来。
1962年
何かに引っ掛かり大人になり切れない主人公。鬱積して発散できない焦燥感、ゼロからの復活を祈らずにはいられないエンディングだった。
ポケッタブルラジオ、舗装道路、車、冷蔵庫。田舎でも、当時の日本に比べると圧倒的に恵まれた環境。牧場のスケールも比べものにならない規模と機械化。まだ、アメリカに敵わなかった時代を感じた。
成長物語
34歳独身のハッドは街に出ては酒浸り、女遊び、そしてケンカばかり・・・17歳の甥っ子ロンだけは両親がいないせいもあって彼を慕っている。
なぜだか狂牛病のような集団発生の牛の病気。口蹄疫じゃないかと保健所は言っていたが、そうなれば牛をすべて殺さねばならない・・・ハッドは病気が確定する前に州外に売ってしまなどと乱暴な提案。
ハッドは15年前、飲酒運転で兄貴を死なせてしまった過去がある。そのために父に嫌われていたかと思ったら、それ以前からだったと告白される。そこからがメードのアルマ(ニール)に襲いかかったり、ロンの車にからかってぶつけたり・・・荒れてしまったハッド。
大きな穴に牛を追いやって一斉射撃するシーンにはゾッとさせられる。ユダヤ人虐殺のメタファーかとも感じるけど、そうではないのか・・・生あるものはいつかは死ぬ。厭世主義と楽観主義が入り混じったハッドの投げやりな態度が不思議だし、ストーリーだって何だか変。結局はロンの成長物語みたいに終わってしまってる。
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