「コメディからハートウォーミングへ」アンデッド kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
コメディからハートウォーミングへ
ミス・バークレーのレネは男友達が殺され、武器屋の男マリオンに助けられる。「終末の始まりだ」"end of beginning"などと、悲観的な中にも逞しさを兼ね備えた男。彼はゾンビ・フィッシュに襲われUFOに拉致されるという経験があったのだ。
マリオンの家に集まったのはレネ、ミスの座を奪われた妊婦と夫のウェイン、そして状況を飲み込めないで権力を振りかざす巡査部長と臆病な女性巡査モリー。地下室に籠城するものの妊婦の陣痛が始まって夥しい数のゾンビの中を脱出する。バークレーの町を出ようとすると巨大な壁に阻まれる・・・
低予算だというのに、メイクアップやVFXはとても低予算と思えないほど凝ったもの。スタッフの熱意には恐れ入る。ただ、ストーリーはゾンビ映画の設定を踏襲しているのだが、宇宙人が登場するSFチックな展開。マリオンが「エイリアンに侵略される」ことを力説していたため、想像もつかない展開なのだ。
バークレーが巨大な壁で囲まれて、酸性雨まで降り注ぐ。暑くて、みんな脱いでしまうとか、笑えるシーンも多々ある。そして、おとぼけ巡査コンビによるコメディホラーから、最後には宇宙人が治療のために酸性雨を降らせたというハートウォーミングな物語となるのだ。隕石もエイリアンが落としたと思わせる巧いプロット。地球を救いに来てたんだなぁ・・・ゾンビになった人間もUFOに連れられ完治してしまう。ウェインが一人小型飛行機で雲の上を飛び、月に照らされたその空間には中に浮いた人間が・・・とても幻想的。
治ったゾンビも壁の外へ降ろされ、そこがいつのまにかロックコンサートの会場のように盛り上がっている。酸性雨のおかげでゾンビ撲滅。しかし、逃走中に多くのゾンビを殺してしまったのだ。ホッとするのも束の間、ウェインは飛行機で逃げたため治療酸性雨を浴びていなかった。と、続編を予感させるような終わり方。再びUFOがやってくるまで命を落とすことができないレナちゃんだった・・・