地球の危機のレビュー・感想・評価
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冒険映画&ジョーン・フォンテイン
後年数々のアクション大作を製作したアーウィン・アレン製作・監督・原案の1961年シネマスコープ、カラー映画。
本作を観る気になったのは、ジョーン・フォンテイン出演作だから…😍笑
地球全体が灼熱地獄っぽくなったり、洪水が起きたり……という滅亡の危機に、潜水艦に乗り込んだ提督たちが「核ミサイルを放つと解決するはず」と言って冒険する物語。
巨大イカ、機雷群など様々なものが潜水艦の行く手を阻むが、潜水艦は頑張って進むというもの。
地球滅亡の危機に核ミサイルを放つと異常気象が解決するというあたりは、何故???…という感じだが、理論的なことは度外視して観る映画になっている。
提督が「ここは水深がかなりあるから小型艦でないとダメ」と言うが、その潜水艇がショボかったりする😅笑
そもそも深いところを潜る潜水艦の正面が「海中を直接見られるガラス」というのは有り得ない感じがしたが、映画の観客へのサービスと言えよう。
一度観たら、たぶん二度は観ない映画だと思った。
個人的には、ジョーン・フォンテインが見られただけでも良かった💕
特撮ファンならマストの作品です
ご存知原潜シービュー号の映画です
米国公開は1961年7月、日本でも同年10月に公開されています
この設定をそのまま使ってテレビシリーズも製作されています
というかそちらの方が有名でしょう
テレビシリーズは米国では1964年から1968年まで長く放映されています
日本でも原潜シービュー号 海底科学作戦のタイトルで1964年から1965年と、1967年から1969年に分けてゴールデンタイムに放映され人気を博しました
製作はアーウィン・アレン、特撮は米国の円谷英二というべきL・B・アボットです
本作とテレビシリーズとの違いは三つ
まず配役で主要登場人物は全員異なります
本作のネルソン提督は名前通り英国人ぽいですが、テレビ版では二谷英明ぽい渋めの米国人らしい役者ですし、クレイン艦長もテレビ版はもっと真面目一徹に、エメリー准将はテレビ版ではいなくなり変わりにモートン副長という良く似た姿の人物がいます
二つ目はフライングサブというシービュー号搭載のカッコいいジェット潜水飛行艇がテレビ版では活躍しますが本作には一切登場しません
三つ目は原潜シービュー号のそのものです
テレビ版の第二シーズンでは全面展望窓の形状が異なり、展望室も無くなっています
テレビ版では緊急時にはシャッターが閉まるようにもなっていますが、本作にはありません
機雷原投入のシーンでは当然閉めるべきものです
このシービュー号の造形、ミニサブの造形、内部のセットも大変に優れています
海上、水中の航行シーンの特撮も優れており、東宝特撮の大プールの撮影にも勝るリアリティがあります
海中での水の表現、潜水艦の巨大さ、航行速度の速さ、深度を取って沈下していく表現、海底を這うように進むシーン
どれもこれも結局のところ東宝特撮はこれに勝る映像を撮れていません
マイティジャックでも、緯度ゼロ大作戦でも、まだ追いつけていないのです
海上の波の細かな表現はむしろ東宝特撮側が参考にして取り入れた表現のように思います
クライマックスのSLBM 潜水艦発射ミサイルの水中発射シーンの特撮のリアリティは完全に東宝特撮を凌駕しているもので、息を呑む見事な出来映えです
本編もまた良くできています
シービュー号の提督、艦長だけでなく士官や乗組員達のキャラクターの描き分けも良くできてます
米国で1966年から放映開始されたスタートレック
宇宙大作戦の元ネタは恐らく本作であるとおもいます
シービュー号がエーンタープライズ号で舞台が海底から宇宙に変わっただけなのです
カーク船長はクレイン艦長とネルソン提督が合体したものです
物語の内容は宇宙的な異変により地球の破滅的危機が訪れた事に対し、世界中から国連本部に科学者が集まって対策計画を検討する
しかし原潜シービュー号のネルソン提督はその計画では地球を救えないと別の計画を独自に進めようとするというもの
この設定の前半だけをみれば1962年3月公開の妖星ゴラスと全く同じです
もしかしたら発想の原点は本作かも知れません
特撮ファンならマストの作品です
お話の筋も、地球をすくう為には激烈な手段の対策を取るべきとのネルソン提督の計画に対して、反対が集中して、果ては艦内で破壊工作まで起こるのです
昨今の新型コロナウイルスへの対策を打ち出す首相に、様々な反対意見が集中している中断固としてやり抜こうとするネルソン提督の姿と重なるものがあります
偶々乗り合わせた精神科の博士などは、被害妄想になっているとまで批判するのです
危機に際してのリーダーと取り巻く人々の物語としても見応えが有りました
実は心理サスペンス
古くは1954年ウォルト・ディズニーが映画化した「海底二万哩」から昨年の「ハンターキラー 潜航せよ」まで多くの潜水艦映画がつくられてきました。海底の神秘やロマンもあればソナーを頼りに見えない敵と極限の密室状況で戦う緊張感、名艦長による高度の頭脳戦などもありテーマもさまざま、人気も高いジャンルです。
本作は1961年とやや古典的な部類の作品、邦題は「地球の危機」、バンアレン帯の炎上といった謎のクライシスも起きますが、原題はVoyage to The Bottom of The Sea(海底への航海)です。
TVシリーズにもなったスーパー原子力潜水艦シービュー号が主役の海洋アドベンチャーかと思いきや、艦の生みの親でもある上司(提督で科学者)のある決断を巡り疑心暗鬼になる艦長の心の揺れを描いた心理サスペンスといった方が良いかもしれません。
後年(1995)、トニー・スコット監督の「クリムゾン・タイド」も同じような艦長命令と事の重大性から万全を期したいと悩む副長と乗組員の葛藤の映画でしたので、その先駆けといった映画でもあります。精神病の権威から、終末論を唱える似非牧師のような人物まで乗り合わせ、バイアスの掛った状況説明、騙されまいと思ったり、落胆したり、思わせぶりの演出に翻弄されます、また小道具の伏線を冒頭に張っていたので肝心の時には忘れてしまいちょっと当惑。お約束のモンスター(タコやイカ)もチラっと登場、謎の潜水艦との水中戦もありますので猛暑の折、海底への航海はありかもしれません。
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