「かくて熱血中年刑事は権力に屈し、最愛の人のために正義を捨てて口を噤む...」非情の標的 O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)さんの映画レビュー(感想・評価)
かくて熱血中年刑事は権力に屈し、最愛の人のために正義を捨てて口を噤む...
『復讐のガンマン』や『狼の挽歌』といった硬派なアクションで知られるセルジオ=ソリーマ監督によるダーティーな犯罪アクション作品です。
若い頃は殺人課の刑事として活躍しながらも紆余曲折有って刑務所看守に身を窶している中年刑事が、誘拐された若い妻を救い出すために犯人グループと闘うも、余りの敵の巨大さと自分の属する警察組織の腐敗も目の当たりにして静かに体制に迎合していく姿を乾いたタッチで描いています
囚人とぶつかり合いながら親交を深めていく様はこの上なく暑苦しくもどこかホモセクシュアルな漂いも有り、主演のオリヴァー=リードがずんぐりむっくりな体型に口ひげの勝新さんスタイルなことも相俟ってどことなく『兵隊やくざ』シリーズっぽさも感じさせる面も有ります。
本来ならば脇役に回されるような"権力に屈した男"を主人公に持ってきているのが驚愕というか、冷徹なイタリア映画!というところ。
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