劇場公開日 2004年1月10日

「【”心を開いて。”突然の交通事故に遭った被害者カップルと加害者夫婦4人の関係性の変遷を描いたヒューマンドラマ。若きマッツ・ミケルセンの魅力が炸裂している作品でもあります。】」しあわせな孤独 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”心を開いて。”突然の交通事故に遭った被害者カップルと加害者夫婦4人の関係性の変遷を描いたヒューマンドラマ。若きマッツ・ミケルセンの魅力が炸裂している作品でもあります。】

2024年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■婚約間際の幸せな日々を送るカップルのヨアヒムとセシリ。
 ある日、ヨアヒムはセシルの車の横で交通事故で全身不随になり、心を閉ざしてセシリを突き放すようになってしまう。
 ヨアヒムの人生に絶望した態度に疲れたセシリは、加害者の主婦マリーの夫である心優しき医師・ニール(マッツ・ミケルセン)に依存していく。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・とても、辛い設定の作品であるが、観ていてジワリと心に響いてくるのは、ヨアヒム、セシル、マリー、ニールが己の心のままに生きる姿である。
 セシルとニールの関係は、倫理的には許されない部分も有るかと思うが、見ていると全面否定できない気持ちになるのである。

・今作のニールを演じたマッツ・ミケルセンは、30代であるが男の魅力が横溢している。そして、涙を流すマッツ・ミケルセンを初めて観た。
 私がマッツ・ミケルセンを知ったのは、007カジノ・ロワイヤルのル・シッフル役である。グレイグ・ボンドシリーズはどれも秀作であるが、この作品はその中でも逸品であると思っている。その理由はマッツ・ミケルセンが演じた血の涙を流すル・シッフルの存在が大きいと思っている。
 彼の方が、”北欧の至宝”と言われ始めたのは、この頃だったであろうか。

・ニールの娘スティーネも、辛いよなあ、と思ってしまう。自分が母マリーと口論していなければ、母は事故を起こす事は無かったのに。それを後悔して、わざとぶっきら棒な態度を家では取っているが、壊れ行く家庭を心配して、父ニールを尾行し、セシルの家に行き最初は”父と別れてくれ”と、強気に出るが、最後は”赦して。私が母と喧嘩しなければ・・。”と謝る姿は、とても沁みるのである。

<そして、ニールは家を出て行くが子供の誕生日には、優しい父として戻って来るし、ヨアヒムも自分の辛い境遇を漸く受け入れて、”心を開いて”セシルと接する姿も、心に響く。今作は、辛い出来事により一時はバラバラになり掛けた2組のカップルが、その運命を受け入れて前を向いて生きていく姿を描いた作品なのである。>

NOBU