クジラの島の少女のレビュー・感想・評価
全4件を表示
伝統と男子偏重の間で
ニュージーランドの海辺の美しく小さい村。族長の家計でマオリの伝統を重んじる祖父コロは息子の元に生まれる男子が予言者になると信じていたが、出産時に母親と双子の男児は死亡、残されたのは女児パイケアだけだった。女子は族長になることは出来ない。族長になる気が亡く海外に旅立った息子に見切りをつけ、コロは村にいる12歳の男子たちの中から跡継ぎを選ぼうとするが、男子と同じように伝統を身につけようとするパイケアに祖父は伝統を汚すな、と辛く当たる。それでも祖父を慕うパイケアが痛ましい。
日本でもいまだに女系天皇を認めない、女性の首相を輩出していない、男女の賃金格差が大きいなと男尊女卑の激しい国だ。ニュージーランドは世界で最初に女性選挙権を認め、女性首相を3人輩出するなどかなり男女平等が進んではいるが、それでもこういった伝統の中にある男子偏重に縛られていることがわかる。それでも族長の血筋が自分で途絶えてしまったのは誰のせいでもないと学芸会で涙を流しながらもスピーチする主人公パイケアが優しく美しい。リーダーの器とはこういう物なのだ。
伝統とはそもそも何のために守るべきなのか、自分を慕う優しい孫を傷つけてまで固持すべき習慣や慣習はあるのか。
未だに女系天皇も夫婦別も認めない日本こそこれを見るべきだ。
クジラに乗った少女
ニュージーランドの先住民マオリ族の族長継承問題、族長の跡を継ぐ者は男子とされていた。マオリ族に限らず古代より男性優位の風潮は世界中の歴史に深く刻まれている。
族長は孫娘を嫌うわけではないのだが伝統だから致し方ない、まして閉鎖的な村社会では尚更でしょう、そんな祖父と一家の葛藤の有様を主軸に、孫娘のパイケアが起こした奇跡により初めて女性の族長が誕生するまでを延々と描いています。
別にパイケアは族長になりたかったわけではないでしょう、族長の家系でなく普通の子であればよかったのです、母はパイケアの出産時に死亡、父は村を捨て海外へ、親代わりに育てられた祖父に報いたくともかなわぬ宿命、幼少期からお荷物扱いを受けた不幸な少女の物語なので観ていて楽しくはありません、伝統なんて糞くらえという心境です。
英国は日の沈まない国。新西蘭 濠太剌利 加奈陀 は英連邦
先ずは、ニュージーランドは『白豪主義』を取っていた英連邦の一国である。
また、マウイ族から見て、英連邦がどんな国であったかを知って、二つの民族の歴史を知って置くべきだ。それを踏まえて、この映画は見るべきだし、『白豪主義』は、日本や中国に対する『黄禍論』と同化して、第二次世界大戦戦の後暫くの間、威勢が続いていた事も理解しておくべきだ。ラグビー人気で、オーストラリアやニュージーランドがマウイ族に対して敬意を表し、軟化政策を取っている事も確かだろうが、一方で強引な同化政策は、今に始まったことではない。同じ英連邦のカナダでも、過去における同化政策で、過去の人達が少数民族にとった差別的行為を、ローマ教皇が代わりに謝罪をしている。だから、男女の問題と言うよりも、民族間の問題としてこの映画は見るべきである。
この映画の演出家は充分にそれを分かって、作品を作っていると思うので評価したい。良い映画だ。
マオリ族の間に生まれた少女の物語
マオリ族の子孫として生まれた少女が苦悩と葛藤を描いた姿に涙が出そうでした。
特に最後の主人公とその祖父と絆がやっと生まれたと思いました。(何故なら、前半は仲が悪かったのに、最後に海で溺れ病院で目を覚ましたとき絆が出たと思います。)
全4件を表示