「なるほど 反逆者って意味なのね」リベリオン ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
なるほど 反逆者って意味なのね
原題はEquiblium(釣り合い、平衡など)、両方とも映画のイメージを表してると言えばそうかな。
20世紀末に起こった第三次大戦後、21世紀の初頭に全体主義、平衡主義を唱えた国家リブリアは、元首ファーザーの指導の下感情を殺すことで怒りや憎しみを抑え、二度と戦争を起こさない平和国家を目指していた。
感情を抑える方法はプロジウムと呼ばれる薬品の定期的な接種。定時間になると皆動きを止めてプロジウムを専用の注射器で首に打つことが決まりとなっている。
政府はこの感情抑制の政策を徹底するためにクラリックと呼ばれる特殊捜査官を設け、感情を呼び起こすようなもの、絵画や音楽などを違法に所持しているもの、プロジウムを摂取していないものを取り締まっていた。逆らうものは彼らが取得した、ガン・カタと呼ばれる銃器を用いた格闘技を駆使して処刑をしていた。
その中でも特に腕の立つ、第一級クラリックのプレストンは感情違反者のアジトへ乗り込んだ際に同僚の異変を察知、感情違反者と見抜き最終的に処刑してしまう。
更に、数か月前には妻を感情違反で摘発、処刑された過去を持つため、次第にこの感情のない生活に疑問を抱き始める。
みんな大好きディストピア近未来もの、とか言いつつ21世紀初頭ってもう過去の話になっちゃってるじゃん。感情を持つから諍いが無くならんという思想は他の映画でもあったと思うけど、アプローチとしては分からんでもないけど、だったら人間じゃなくなってしまわない?というシンプルな疑問にたどり着く。結局誰もそんな未来は望んでいないわけで、いろいろと反乱も起きてくるわけで。
そこを力でねじ伏せようってのがクラリックさん達。その中の腕利きが、んーなんか違うと思い始めるところで物語が転び始める。
まあこんだけ独裁貫いてたらいずれは失脚するんだろうけども。
でも、この映画のキモは実はここの世界観のところではなくて、ガンアクションのカッコよさだったりする。この映画が上映された3年前に近未来SFガンアクション映画のマスターピース マトリックスが上映されていたので、恐らくはかなり影響を受けたんじゃないかな。
マトリックスもカンフーありガンアクションありだったけど、本作はそれを融合させて、ガン・カタとか微妙に日本語っぽい語感の武道がベースになっている。
これ、その先にあるジョン・ウィックのガンフーに繋がる系譜な気がする。
ジョン・ウィックのガンフーはより組手に近い距離でのガンアクション、リベリオンは理詰めのボディワークと立ち位置で戦う中間距離のガンアクション、マトリックスはもう距離感無視でネオの超人的パワー&スピードで敵に対抗するスタイルとそれぞれ違った趣があって面白い。
それにしても、ガンアクションだけを取ったら、もっと話題になっても良かった作品なような気がする。ちょっと地味なのかな。
そして、出てきた時点で勝ち確俳優の一人、クリスチャン・ベイルが主人公のプレストンを演じている時点でもう勝利。アクションもさすがと思わせるキレとしなやかさだった。
その分、悪役が精進料理もかくやのあっさり味で、もう少し頑張って欲しかったかなぁ。
でも、世界観はなかなか面白いしアクションも見どころ満載、長さもほど良くて約二時間しっかり楽しませてくれるエンタメ映画だったと思う。