鷲と鷹(1933)
解説
「暁の偵察」「最後の偵察」と同じくジョン・モンク・ソーンダース原作物で、「暗黒街の顔役(1932)」「暁の偵察」のシートン・I・ミラーがボガート・ロジャースと共同して脚色し、「未亡人倶楽部」「偽りのマドンナ」のスチュアート・ウォーカーがミッチェル・ライゼンの補助を得て監督したもの。主役は「暴君ネロ(1932)」「永遠に微笑む」のフレドリック・マーチで、「お蝶夫人」「七月の肌着」のケーリー・グラント、「響け応援歌」「競馬天国」のジャック・オーキーが共演するほか、「競馬天国」「殺人鬼の魂」のキャロル・ロンバード、「暴風の処女」のサー・ガイ・スタンディング、「コンゴ」のフォーレスター・ハーヴェイ等が助演しいる。カメラは「結婚二筋道」「未亡人倶楽部」のハリー・フィッシュベックの担任。
1933年製作/アメリカ
原題または英題:The Eagle and the Hawk
ストーリー
金持ちの倶楽部員ジェフリー・ヤングと乱暴者の建築技師ヘンリー・クロッカーと洒落の名人マイク・リチャーヅは欧州大戦勃発と同時に英国の空軍に志願した。ジェリーは乱暴者のヘンリーが好きになれず、出征の命が下った時もヘンリーを敬遠して、その出征を拒んだ。ヘンリーが憤慨したことはいうまでもない。フランス戦線に立つや直ちにジェリーは偵察飛行に出掛けて、敵機を射落として無事着陸したが、彼が操縦する機に同乗する偵察将校は次から次へと倒れ、神経質なジェリーはすっかり戦争懐疑症にとりつかれた。ある日ジェリーとヘンリーの犬猿の間柄を知らないダンハム少佐はヘンリーの志願を容れ、偵察将校として彼をジェリーの機に同乗させることとした。2人の最初の飛行では敵の観測気球に出会い、ヘンリーは気球を射落とし、更にパラシュートで避難中の敵将校に乱射を浴びせて殺した。ジェリーはヘンリーの残忍性を嫌悪したが、名射手としての腕前を認めない訳にいかなかった。かくて2人の操る偵察機は敵の恐怖の的であり、連合軍の花形であった。ジェリーの胸には名誉の勲章が増していったが、それと反比例に彼の憂欝は日毎に高まり極度の神経衰弱に陥ってしまったので、仲の悪いヘンリーもさすがに戦友のため、少佐に頼んでジェリーに休暇を取らせた。ジェリーは親友マイクのために、マイクの機にヘンリーを同乗させることを少佐に頼んで戦線を去った。ロンドンに帰って大歓迎を受けたジェリーが休暇を終えて帰隊した日、マイクは死んで着陸した。それはヘンリーが無理に敵の花形ヴォスと渡り合った結果と知るや、ジェリーはヘンリーの同乗を拒絶して少年偵察士を乗せてマイクの敵を討とうとした。目指す敵のヴォスが迫った時、ジェリーは猛襲を避けんと宙返りしたが、その時傷付いていた少年偵察士は墜落してしまった。ジェリーは憤然として強敵ヴォスと戦いを交えて、遂に敵を射落とした。ジェリーはかくてマイクの仇討ちをしたが、ヴォスが弱冠の少年操縦士だったことを知るや彼の憂欝は前に倍した。彼の功績を祝ってくれる戦友達の酒宴をも、ジェリーは半ばにして辞して酔い倒れてしまった。ジェリーの心境を漸く同情するようになったヘンリーは懇ろにジェリーを介抱し、翌払暁には2人で偵察飛行に赴いた。敵数機と渡り合って奮戦したが、時利あらずジェリーは胸を射抜かれて、空の勇士として名誉の戦死を遂げたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- スチュアート・ウォーカー
- 脚色
- ボガート・ロジャース
- シートン・I・ミラー
- 原作
- ジョン・モンク・サウンダース
- 撮影
- ハリー・フィッシュベック
- 助監督
- ミッチェル・ライゼン