落穂拾いのレビュー・感想・評価
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【“現代の落穂拾い”をする人々を追って、彼らの生き方を描くドキュメンタリー作品。食物大量廃棄問題などにも、思考が及ぶ。アニエス・ヴァルダ監督の視点が素晴しい作品である。】
■ある日、パリの市場で道に落ちているものを拾う人たちを目にしたヴァルダ監督は、ミレーの名画「落穂拾い」を連想する。
田舎ではまだ落穂拾いをしているのか?という疑問にかられた監督は、カメラを手にフランス各地の“現代の落穂拾い”を探す旅に出る。
◆感想
・アニエス・ヴァルダ監督の、作品発想が素晴しい。そして、その溢れんばかりの好奇心と、行動力にも・・。
・今作を見て、直ぐに思い出すのは、コンビニエンス・ストアーや、大型スーパーからの大量食物廃棄問題である。
消費期限が来たものは、スーパーの場合、値引きシールが貼られるが、少し前まではコンビニエンス・ストアーでは、即廃棄であった。店員も、持ち帰ってはイケナイルールだった。
”勿体ない”と言う言葉は日本だけかと思っていたら、フランスでも”グラヌール”(拾う人)という言葉がある事も知った。
・今作は、様々な”グラヌール”(拾う人)を捉えている。
1.サラリーマンでありながら10年以上も、グラヌールで生活をしている男性。
2.市場に落ちている野菜を食べる菜食主義者の男性。
3.ジャガイモ畑で規格外のジャガイモを大量に拾う、ジプシーの人々。
4.牡蠣の養殖場のすぐそばで、牡蠣を拾う人々・・・
面白いのは、それぞれ”グラヌール”には、規則があるという事であった。
・法的に言えば、所有権が問題になるが、基本的には廃棄した時点で、そのモノの所有者だった人の所有権は無くなり、必要な人がそれを活用する事が出来る。
だが、廃棄場所を荒らしたりすれば、法的処罰を受ける事がある事は、映画の中で描かれている通りである。
<捨てられたモノを、再利用する大切さ。
場合によっては、それは食料の大量廃棄を減らす、環境面にもプラスになる。
勿論、ルールを守ってではあるが。
そのような事に、ミレーの”落穂拾い”の絵を見て気付き、即、作品制作に動く、アニエス・ヴァルダ監督の行動力や、作品構成力には脱帽である。
ラストはアニエス・ヴァルダ監督への捨てられたモノ達からの、ご褒美だと思った作品。>
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