フォロウィングのレビュー・感想・評価
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練られまくった構成をじっくり味わう作品
「どこまで観客はついてこれるのか」「どこまで破綻なく伝えられるか」そんな実験してる気がしてならなかった。
実際、物語が破綻しないギリギリの設定だと思う。主要な人物は3人で、これ以上登場人物が増えると関係性が複雑になって観客はギブアップするかもしれない(私だったら早々にリタイアしそう)。さらに場所も限定的で基本は会話劇。余計な装飾が無い分、プロットの複雑さになんとかついていけた。
まずそのバランス感覚ってすごい。
ただ余計な部分が無いから、監督の頭の中をそのまま映像化したような、やや無味乾燥な感じではある。映像作品として楽しむというより、練られまくった構成をじっくり噛みしめて味わう作品だなと思う。
ここから始まったんだなという感慨と、ここまで複雑なプロットをよく成り立たせたなという驚きが今、胸の中をぐるぐるしてる。
デビュー作にすでに重要なエッセンスが
クリストファー・ノーラン監督の最初の長編映画だが、同監督作品の主要なエッセンスである「時間」についての鋭い構成力がすでに見られる。時間経過がリニアに進行していない構成の作品なのだが、それがスリラー映画としての完成度を高めている。こういう構成は人物の感情が繋がっていかないので、見るのが難しいと感じる人がいると思う。実際、難しいけど、「メメント」ほど難解でもない。
とあるスランプの脚本家が、ネタ探しにある男を尾行する。その男は泥棒を生業にしていた。二人はある家に侵入するが、色々あって事件に巻き込まれていく。しかし、その裏には男のたくらみがある。
時間軸がシャッフルされている構成は、どこか人の記憶のようでもある。人は出来事を理路整然と時系列通りに覚えているわけではない。エピソードは断片の集積として脳内に保存されている。そういう人の記憶の迷路に迷い込むような、そんな感覚を味わう作品なんだろうと思う。
揺るがない人
多くのファンを有しながら賞には恵まれず、『オッペンハイマー』で遂にアカデミー賞独占を成し遂げたクリストファー・ノーランの監督デビュー作がリバイバル上映です。自身の小説の材料にしようと、様々な人の後をつけている内に思わぬ犯罪に巻き込まれて行くクライム・スリラー。
撮影も自身が担当しているだけあって、監督第一作目とは思えぬほどシャープな映像と作り込んだ物語でした。モノクロ・スタンダードサイズという拘りも監督ならではです。でも、この時から既にノーラン独自の「時制グチャグチャ・シャッフル・ストーリー」の基本姿勢は確立していました。製作費は『オッペンハイマー』の1/100 以下でしょうが、各ショットにノーラン印が刻印されています。「揺るがない人なんだなぁ」とその事に心揺さぶられました。
天才の第一歩
長編デビュー作でこの貫禄。無名の俳優ばかりだろうに風格を感じるのは、監督?脚本?の力なのか。Amazonプライムで見ていて一つ残念だったのは途中で、あれ?3人いる?って思って最初から見直してしまったこと。時系列の入れ替えくらいクリストファー・ノーランはやってくるよー、何で待てなかったんだよ私ー。その後のノーランと比べたらとても素直な分かりやすいストーリーでしたが、微妙にユージュアル・サスペクツ感を感じてしまったのは私だけでしょうか。こっちが先ならスゴイ!と思ったけど、さすがにあちらの方が先っぽいですね。
白黒映画でも食わず嫌いせずに見てみた
あのクリストファーノーランのデビュー作。そう言われなければ絶対に見ない映画。
なにしろ白黒映画なんだ。
吹き替えもない。
時間が短いというのが唯一の救いで、本当に面白いのか不安でいっぱいの中で視聴した。
ノーラン作品をいくつか見てると、その原点である要素を感じ取れる。
時系列がバラバラなのはまさに顕著で、メメントを思い出す。
白黒な所も尚のこと。
ながら見だと絶対ついていけないので、ある程度集中できる時間にみた方がいい。
登場人物は5人ぐらいしかいないものの、なんと言っても白黒だし、時系列が普通じゃないから混乱してもおかしくない。
それでも、終盤に仕掛けられたサプライズに、これぞノーランだとうならされること必至。
ノーランが好きなら見よう。
そうでもないなら覚悟して見よう。
クリストファー・ノーランのデビュー作。面白かった。
クリストファー・ノーランのデビュー作。低予算で作られたので出演しているのは役者ではなく素人ばかり。その為平日は仕事があって人が集まらず撮影出来なかったとか。かくして撮られた映画だが出色の出来。ノーランは最初からノーランだったことが分かる。
バラバラに切って並べかえチラリチラリと見せて観客に推理させるやり口は既に最初から出来上がっていた。というかこれしかないのか?と文句の一つも言いたくなる程毎度のこと。といって好きなのでいつも観るのですが…。笑
ネタ探しの為に気になった人を尾行する行為を繰り返していた作家志望の男。今日も偶然見かけた男をつけていたが相手に見つかってしまう。
その男は空き巣が趣味で一緒にしないか?と誘う。
面白そうなのでその話に乗る作家志望の男。ある家に侵入。段々厄介な事に巻き込まれて…。
70分と短いこともあって途中で先が読めてしまった。でも上手く出来てて面白かったです。
ノーラン版ユージュアルサスペクツ
まさにそんな感じ
モノクロなのが雰囲気いいね
ただ、時系列バラバラにしたのが必ずしも面白さにつながってないような気もするなー
モノクロだからか、ちょいわかりにくかったけど、普通の時系列にした方がラストの展開がより引き立つような気がした
ノーランもこれがデビュー作というのはすごいね
短くまとまっているのもすごい
この作品があったからこそメメントがあそこまで完成度高くなったのかなと思いました
混乱
プライム対象作品になっていたので鑑賞。
デビュー作の時点で、時間軸を交差させる今の手法を使ってたんやなあ。
70分という短い作品ではあるけど、中身は濃厚。混乱したなあ。サクッとみられる作品ではないけれど、時間が短いのでクリノラファンはみて損はない!
オシャレな映画になりました
クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作。
1998年の作品で70分と短いですが
これはまた面白い。
全編モノクロで雰囲気のある映像で
セリフも極力少なくオシャレです。
ノーランらしく時系列もちょっと前後することで
複雑なように見せて実はそうでもない。
最後まで話の結末が分からない脚本もいい。
デビュー作とは思えない
とても面白かった。
時間軸が3つあって、
どう繋がって行くのか最後まで目が離せなかった。
クリストファーノーランは理系の監督だと思っていて、
全て計算されていて、時間や数字をイジるというのを
デビュー作からやってたのは驚き。
お金は掛かってないだろうにチープさを感じさせない。
時間軸をイジって謎をさらに深くして行く手法だけど
イジってなくても面白い脚本も魅力だと思う。
メメントよりは分かりやすく、それでいてメメントっぽさもあって、ファンとして観れて嬉しかった。
途中まで面白いけど、結末が。。。
空き巣のコッブの哲学めいた私見が面白く、被害者と出くわすようなピンチでさえ、冷静に分析していて、デザートまで食べようとする余裕っぷりにかなり惹かれた。
時系列をバラバラにして謎を作りつつ、主人公を通してコッブのカッコ良さを魅せるような作りだと思った。
かなり面白いけど、ラストに向けてのコッブの仕掛けがちょっと出来すぎていて、いわゆる無理ゲーに思えて冷めてしまった。
ギリギリ可能と思われる一線を超えてしまうと、なんでもありの世界観に思えて熱が冷める。
なんか惜しい映画。デビュー作だから当たり前か。
伝統と革新、創造と破壊
クリストファー・ノーランを父親=イギリス人、母親=アメリカ人双方の気質を兼ね備えた映画監督と評する人が多いと聞くが、本当ににそうなのだろうか。伝統を重んじながら進取の気象に富む気質は、英国人の国民性そのものだからだ。そうでなければ、ビートルズにプログレッシブ・ロック、パンクがイギリスで生まれることはなかったと思うのである。
本長篇デビュー作にそのイギリス人特有の個性をあてはめてみようとするならば、モノクロ&スタンダード→伝統、時系列のいりくり→革新ということになるのだろう。とある別の映画で、ためしにタランティーノの『パルプフィクション』を時系列のどおりに並べ変えてみたら面白くもなんともなかった、という話を聞いたことがある。本作においてその時系列シャッフルが無ければ、おそらく自称作家である貧乏男の“狂気”が観客にうまく伝わってこなかっただろう。
最新作『オッペンハイマー』の中でノーランは、革新的な技術=原爆が目の前にあった時、それを使わずにはいられなくなる科学者の本能を描き出した。それは、自らに課した掟を破って同作品に初めてCGを使ってしまった“言い訳”のようにも思えるのだ。元来新しいものには目のないノーランが、頑なに守り続けてきた伝統を自ら破ってしまったからである。
一見すると、コッブなる人物に殺人窃盗の罪をなすりつけられた男の悲劇のように思える本作。しかし、ノーランにしては珍しくストーリー・ロジックが所々で破綻している、突っ込み処が散見されるのである。まるで、(部屋に飾られたモンローのブロマイドや『罪と罰』の“老婆殺し”から思いついた)売れない作家が書いた三文小説のように...警察が云うように、はなっからコッブは主人公の頭の中にしか存在しない“想像上の人物”だったのではないだろうか。
貧乏に耐えきれず、他人の跡をつけ回しては留守中空巣に入り盗みを繰り返していた男が、小説風にでっち上げた架空の人物、それがコッブだったのではないだろうか。つまり、時系列を破壊した物語の構成そのものがミスリードになっているのだ。そう考えると、映画ラストのオチを含めすべての辻褄があってくるノーランらしい、非常に緻密なシナリオといえるのかもしれない。伝統と革新、創造と破壊。2つに引き裂かれたアイデンティティを感じとるべき映画監督なのかもしれませんね。
時間軸があちゃこちゃになる。
クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作ですが、いやーこの頃から才能が見え隠れしますね。
もう、デビューからすでに時間軸を操る観せ方が確立されている。時間軸があちゃこちゃなので、???とたるのに観ていくと完全につながる。
もう時間を操る魔術師ですねぇ。
内容自体は、そこまでではなく、少し退屈に思うこともあるのですが、なんだか奇抜な展開なのですよね。
これ、絶対に普通の監督では作れないよってのが伝わりました。才能ある監督はデビュー作から違うね。
仕掛けまくり
ノーラン監督の長編デビュー作。
ということもあってか、「凡庸な作品にせえへんで!」という意気込みを感じました。
たっぷりと仕掛けを施し、凝ったつくりにしているけれど、鑑賞者を置いてけぼりにしないように、そこは注意ぶかく構成しているなという印象を受けた。
作品のトーンもエレガントで◎
高密度な映画
時間軸が前後して進むため、物語の全体像を推理しながら観ていく。度々話から置いていかれそうになるが、最後には靄が晴れたような気分で終われる。
話の組み立てと人物像の作り込みがしっかり噛み合っているからこそ、全てを頭で理解できなくても、最終的には納得感を得られるんだろうか。
白黒で上映時間も短かったが、普通の映画以上の満足感。これがカラーだったり、もう少し長かったりしたら集中力が途切れていたかもしれない。
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