「罠に嵌った男」フォロウィング 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
罠に嵌った男
なんかちょっとヒッチコック風。
クリストファー・ノーランも人間に興味があるんだね。
私物とかを隠す【箱】とかに好奇心を持つ・・・意外でした。
普通、尾行なんか探偵が仕事
とかじゃなければ、私はしないな。
《ストーリー》
ビルという暇な男が主人公。
小説のネタ探しも兼ねての
尾行が趣味で、尾行中の男の入ったコーヒーショップに座ったのが
ケチの付きはじめ。
尾行を見破られて逆に職質みたいな雰囲気になる。
それからなんとビルはその男・コッブの弟子になり、
空き巣の指南を受ける。
そして2人で空き巣を一緒にするようになる。
金品目当てと言うより住んでる住民のCDの趣味とか、
年齢や学歴などを当てて楽しみ、置いてあるワインを愉しだりするだけ、
の筈が。
空き巣に入った部屋に小さな写真があり、気になったビルはその女を
尾行をする。
ビルは女が入ったバーで女ナンパする。
女は訳ありで、オーナーの女。
女はビルにある物をオーナーの事務所から取り戻してと頼む。
そして忍び込んだ事務所の金庫には女の頼んだ私物以外に
大金の古札の束がぎゅうぎゅう詰めだった。
もちろんビルは全額頂いたさ!!
そしてなんかよく分かんなかったんだけど、
コッブは途中からビルを自分の犯罪の身代わりに仕立てて行く。
オーナーの女から金庫の大金の話と、ビルと女が寝た話を聞き、
おもむろにゴム手袋を嵌め、飲んだワインのコップの指紋を消して・・・・
女を金槌でめった打ちにして殺す。
そして金を持って、何処かへと消える。
後に残ったのは、金を奪い女を殺したと疑いの掛かったビル。
はじめからコッブなんて男は存在しなくて、コッブのアパートの所有者は
空き巣で奪ったクレジットカードの持ち主の、
《D・ロイド!!だった》
押収されたクレジットカードには、ご丁寧にビルの字でサインが?!
(筆跡鑑定なんか、証拠になるんだっけ?)
だけどですねー。
クレジットカードにを取得するには身分証明書(ID)とか、住所、
年齢、電話番号そして銀行などの通帳番号が必要ですよね。
架空口座のクレジットカードなんて?
スパイか?CIAにしか無理だよ!!
と言う訳で、コッブの完全犯罪はバレると思うのでした。
ヒッチコックの「見知らぬ乗客」にちょっと似てますが、
犯人が逃げて罪を被されるビル。
ラストはノーランの本作の方がずっとブラックです。
上手くいけばね。
クラシックな雰囲気なんですけれどお洒落で
さすがクリストファー・ノーランの長編デヴュー作品。
十分に面白い。
私には時間軸が変化している?
その点がそんなに良くわかりませんでした。
そんなに前後してましたっけ?
いつもコメントありがとうございます。
さて、
そもそもコッブは、女と共謀して店の売上金を狙っていたと思われます。
そこに飛び込んできたのが主人公です。
彼にすべての罪を擦り付ける工作を、コッブと女で仕込みます。
コッブの計画外の出来事が、主人公のあまりにも馬鹿正直さな部分でした。
つまり主人公は、好きになった自分を騙している女に計画のすべてを話してしまったことを、コッブに報告したのです。
コッブは女には計画Aを伝え、主人公には計画Bを話していたのです。
この時点で女はもうコッブを信用しなくなります。
そこでコッブは、用意しておいた脱出計画に踏み切ります。
それが自分を知る女の始末と彼自身の蒸発です。
通常ならばコッブのどこかに落ち度があり、逮捕されるのが物語のセオリーですが、この作品では何から何まですべて主人公の犯罪となりそうなところで終わってします。
これがいい余韻を残しているのでしょうね。
十分に見ごたえのある作品です。
個人的には時間軸をずらすことで真相を最後に示すのは、視聴者がその真相にたどり着いたカタルシスのほかの「何か」がなければいけないように思います。
理由はすでに使われた型だからです。
しかしながらこのモノクロフィルムが、この作品全体に与えている雰囲気と物語そのものを象徴的に示しているようでよかったです。