「面白く空恐ろしい「ビル」」フォロウィング R41さんの映画レビュー(感想・評価)
面白く空恐ろしい「ビル」
暇を持て余していた男が考え付いたのは、街で見かけ気になった誰かを尾行することだった。
しかしそれがバレてしまう。しらを切ったが男は鋭い勘を駆使して主人公ビルのことを次々言い当てる。
男の名はコッブ 泥棒だった。
この裏主役とも言うべきコッブこそがこの物語の主軸。コッブに遊ばれるように事件に巻き込まれていく主人公の視点で描かれている。
コッブのそもそもの目的は彼の影武者を作ることだ。すべての証拠をビルに押し付けるための巧妙な手口を使う。
そしてとことんビルを馬鹿にしている。缶ビールを振ってから渡すのはイギリスジョークだろうか。下に見た人間に対する常套行為だろう。
ビルが話していることにもすべて裏工作が存在する。
そして事前調査はMI6並みに徹底している。
そもそもビルは他人の「言葉」など一切信用しない。必ず裏を取る。
ビルは、馬鹿にしているコッブが女に泥棒のことを話したことをきっかけに、この街でしたことすべてを速やかに始末をつけると決めたのだろう。
屋上でのことから物語が一気に加速する。
コッブはこれら一連の出来事を警察官に打ち明けるが、そもそもすべて仕組まれているので、コッブという人物の存在が警察によって確認できない。
何から何まですべてがビルの単独犯行を示す証拠しかない。
そして最後に女までも殺されてしまう。
ビルは女の元を訪ねた後、すぐに警察へ出向いたのかどうかわからないが、コッブは入れ替わるようにビルのアパートに侵入して現金すべてを盗んだのだろう。
視聴者は主人公ビルと一体化して出来事の様子を見るが、すべてコッブに騙されていたということになる。加えて時系列が前後することでわかりにくくなっている。
モノクロフィルムが「ビルの夢」のような効果を出し、嘘であって欲しいと願うビルの心理状態と呼応する。同時に去ってゆくコッブという誰にも知られていない存在がまるで影のように感じられる。
ある種痛快でもあるこの作品は見事だった。
コメントありがとうございます。
この後に有名な【記憶が10分間しか持たない病気を患う男の
復讐劇】の「メメント」を観ました。
ずっと配信で観れなかったのに「フォロウィング」の関連で
入荷したのか、久しぶりに観ました。
「フォロウィング」の方がお洒落で現代的でよく出来ている
印象でした。
私は時間軸の変化とかに、鈍感な方で、よく分からないのですが、
バーの女(空き巣に入られて、小さな写真を盗まれて、ピアスを
隠されて、後で見つかったり、ビルがその女に興味を持ちバーで
ナンパしたり)
その間ビルは裏工作をしていたの?
オーナーの男(女のパトロン)がその日に大金を金庫にいていたのを、
女は知ってたんですよね)
コッブは金のことはビルから聞いて知り、そして全部頂戴して
消えよう・・・と、大金をビルから全額巻き上げる計画した時点で
決めたのかな?)ビルはコッブと山分けするつもりのお人好しなのに・・・。
長くなってすみません。
書きながら考えてました。
コッブが消えることで、とても謎の残るラストになりましたね。
モノクロは本当に素敵でしたね。
そしてコッブがハンサムで髪を切ってスーツを着たビルもとても似て来てハンサムなビジネスマンに変わりましたね。
女もクラシックな印象の癖のある美女。
してらやたのは観客も同じでしたね。