劇場公開日 2001年10月20日

「【“白いシャツとズボンと手袋をした異様な男に卵を上げようとしただけなのに・・”不条理で不快感溢れるミヒャエル・ハネケ節炸裂作品。】」ファニーゲーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【“白いシャツとズボンと手袋をした異様な男に卵を上げようとしただけなのに・・”不条理で不快感溢れるミヒャエル・ハネケ節炸裂作品。】

2021年9月28日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

■不条理で不快感溢れる作品を制作する監督ベスト3+1

 1.今作の監督 ミヒャエル・ハネケ 「愛、アムール」で、涙を誘ったりしながらも(けれど、良ーく見るとね・・)、「HAPPY END」そして今作。

 2.ラース・フォン・トリアー 「ハウス・ジャック・ビルト」

 3.ポール・ヴァーホーヴェン

 +1としては、明らかに今作に影響を受けたと思われる「聖なる鹿殺し セイクリッド・フィア」を制作したヨルゴス・ランティモスである。
  そして、思い出したが、リューベン・オストランド監督も、近い気がするなあ・・。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

 ・冒頭から、不穏感、不条理感、不安感が尋常でない作品である。
 白いシャツとズボンと手袋をした小デブな男ペーターが、キャンプ地にやって来たショーパー一家(ゲオルグ&アンナ夫妻、そして息子の家に、卵を貰いに来るのだが、2回卵を落としてしまう。そして3度目・・。
 ー 卵が割れてしまったときに、嫌ーな気持ちになる人は多いのではないだろうか。
   今作での、ショーパー一家の行く末を暗示する見事な冒頭のシーンである。

 ・同じく白いシャツとズボンと手袋をしたパウルは、更に陰湿で暴力的で、
 ”明日の朝までに、アンタ達は死んでいるだろう・・”
 と言いつつ、ゲオルグの脚をゴルフクラブで打ち付ける。

 ・そして、今作でパウルは3度、第四の壁を越えて見る側に、嫌ーな笑いを浮かべながら、語りかけてくる。
 ”このままじゃ、面白くないだろう?”

 ・劇中で流れるのは、丸尾末広の絵をジャケットに使用しているあの、「ネイキッド・シティ」の”ジョン・ゾーン”の金切り声の様なサックスが響き渡るフリー・ジャズである。
 ー この選曲は、この作品のダークテイストに絶妙にマッチングしている。ー

<今作は、観客を、不安と不快な気持ちにさせる天才、ミヒャエル・ハネケ節全開作である。
 中途半端なホラー映画が、裸足で逃げ出す程、嫌ーな気持ちにさせられる作品である。
 けれど、ミヒャエル・ハネケ監督って、カンヌでは評価されている事が良く分かる作品でもある。>

NOBU