「ヒロインに合掌。」反則王 TRINITY:The Righthanded DeVilさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒロインに合掌。
キム・ジウン監督作品の常連、ソン・ガンホの初主演作。
実在した銀行員兼任のプロレスラー(2004年引退)をモデルに、日韓で活躍した大木金太郎(キム・イル)や日本のサブカルチャーへのオマージュも含め、プロレス愛のこもったコメディ映画。
主人公が転がり込むプロレス道場の館長は、実は往年の人気覆面レスラー。
そのリングネームにも、対戦相手にマスクを剥ぎ取られ逆上した主人公が乱闘に及ぶクライマックス(アニメ版『タイガーマスク』の最終回とほぼ一緒)からも、文化の部分では日韓が繋がっていることを強く感じる。
通勤ラッシュや上司のパワハラなどの職場環境、サラリーマンの悲哀や親父狩りなど、2000年当時の日本と変わらない風景が興味深い。
メディアは韓国の反日感情ばかり強調するが、自分たちとそんなに変わらないお隣さんだということをあらためて認識。
日本の大手団体が作品の公開と同じ頃から始まったWWE人気に感化されたせいで、セメント(真剣勝負)を信じていたファンが遠ざかり、ローカル放送を除けば地上波からプロレス中継が消えた今となっては貴重な作品なのかも。
全体的に面白かったが、副支店長に立ち向かったデホがズッコケるラストシーンは余分だった気がする。
どうでもいいけど、劇中のビデオに出てるアメプロのレスラーが誰なのか、ちょっと気になる。
「ザ・シネマ」の無料放送で拝見(実は録画していたことも忘れていたが、ディスクを整理していて発見)。
監督のキム・ジウンは今や韓国を代表するヒットメーカー。
ソン・ガンホも国際スターに成長したが、初主演の本作では文字どおり、体当たりのアクションにスタントなしで挑戦しているシーンが多数。この役者根性があれば、のちの活躍も宜べなるかな。
館長の娘ミニョンを素朴で飾らない魅力で演じていたのは、当時25際のチャン・ジニョン。
調べたら、まさか15年も前に病気で亡くなっていたなんて…。悲しすぎる。