「「正しさ」の難しさが作品の「先行きの読めなさ」につながる。」トレーニング デイ すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
「正しさ」の難しさが作品の「先行きの読めなさ」につながる。
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◯作品全体
序盤で感じる「研修にしてはあまりにも濃すぎないか?」みたいな違和感とか、真意が見えないハリスの振る舞いが、しっかり作品後半に活きてくるのが面白かった。
特にホイトに対するハリスの振る舞いは横暴に見えるときもあれば現場の実情にあった行動に見えるときもあって、正義心あふれるハリスが正しいのか、ギャングの懐に入り込んでいるハリスが正しいのか、確信が持てないまま物語が展開されている「先行きの読めなさ」が良かった。
麻薬捜査官としての正しさに焦点を当てつつ、ホイトとハリスの価値観を映す前半から、ホイトがハリスに捨て駒にされて復讐する後半。それぞれ物語の中心にあるものが違うにも関わらず、きちんと繋がりがあるストーリーライン。ハリスの妻子がいる設定とかも活かして、少ない設定に加えて短い物語内の時間で骨太な作品になっていた。
◯その他
・悪いデンゼル・ワシントンを見る映画でもある。デンゼル・ワシントンの不気味っぷりに頼みすぎてる感じはしなくもない。
・ところどころでハリスの正義心が鬱陶しく感じてホイトに好感があるシーンがあったりしたのも作品の術中だったな、と思う。後半まではどちらが正しい、みたいな決めつけをしないバランス感覚が本作の一番好きな要素かもしれない。
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