「【”羊を守るために狼になれ!”ベテランと新人麻薬捜査官の善悪、倫理観の違いを軸に巧みなプロットで”腐ったLA式麻薬捜査方法”とその末路を描いた作品。今作はデンゼル・ワシントンの演技を含め傑作である。】」トレーニング デイ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”羊を守るために狼になれ!”ベテランと新人麻薬捜査官の善悪、倫理観の違いを軸に巧みなプロットで”腐ったLA式麻薬捜査方法”とその末路を描いた作品。今作はデンゼル・ワシントンの演技を含め傑作である。】
◆印象的なシーン
<ネタバレあり。これだけの傑作作品なので、多くの方が鑑賞済みと言う前提で記載。>
・新人麻薬捜査官ジェイク(イーサン・ホーク)が、ベテラン捜査官アロンゾ(デンゼル・ワシントン)から、初日早々、車中で言われた言葉。
”指輪を外せ、捜査中は家族の事を考えるな!”
- この言葉が、ラストに流れるニュースキャスターの
”アロンゾ捜査官には、妻と4人の子供が居ました・・”というコメントに効いてくるのである。ー
・2度、アロンゾがジェイクについて、語る言葉。
”こいつは良い”目”をしている・・。”
- この後、ジェイクがアロンゾからの過酷な試練を受けるたびに、”眼力”が強くなっていくのである。-
・アロンゾが、”ジャングル・ダム”にジェイクを連れて行くシーン。
”ここには、独りで来るな”
と言いながら、アロンゾはエルサルバドル出身の愛人の元へ。
無垢な息子にエルサルバドル語で語り掛けるアロンゾの姿。
”ジャングル・ダム”の男たちのアロンゾを見る目。
アロンゾは彼らの事を”ゴミだ”とジェイクに小声で告げるが・・。
- ラスト、アロンゾがジェイクに”形勢逆転”された時の、”ジャングル・ダム”の男たちのアロンゾを見る”冷たい目”。
空しく夜空に響くアロンゾの声。”俺がここを支配している”-
・アロンゾが、LAの”大物で腐った”警部、検事たちと交わす会話。
そして、徐々にアロンゾが一週間前にラスベガスでやった事実が、仄めかされる。
アロンゾはそのために、”友人”の情報屋ロジャー(スコット・グレン)宅を悪徳刑事4人と共に訪れるシーン。
そして、400万$を手に入れるシーンでの、”手数料を受け取らない”正義感あるジェイクと悪徳刑事達とのやり取りと偽装工作。
-腐ったLAの警察組織、麻薬捜査官たちの姿が、露わになる。ジェイクの怒りと哀しみに満ちた眼。
イーサン・ホークの魅力爆発シーンである。
この稀有な俳優は、哀しみを湛えた表情表現が実に素晴らしい。
私が、彼のファンである理由の一つである。-
・アロンゾの引っ掛けにより、スマイリー達がたむろする、マフィアの家に独り取り残され、殺されかけるジェイク。だが、最序盤に女子高生を助けていた事から・・
- ここも、プロットの巧みさが光る。それにしても、バスタブのシーンは緊迫感が凄い。-
・ジェイクに追い込まれたアロンゾの
”金を返してくれ・・”という、哀願に対し、
”バッジが泣いている”とジェイクがアロンゾのバッジをはぎ取るシーン。
アロンゾの”最悪な一日だ・・”と言う、弱弱しい言葉。
そして、あの壮絶なアロンゾの姿。
- 劇中、何度かアロンゾが笑いながら、ジェイクに言っていた
”ロス市警の麻薬捜査官が、本日死亡”
というニュースコメントが流れる・・。-
<太い銀のネックレス(大小の十字架が先端にぶら下がっている)を首から下げた悪に染まり過ぎた麻薬捜査官アロンゾを、デンゼル・ワシントンが今までにないスタイルで見事に演じ、麻薬捜査官になった事を悔い、悩み、惑うジェイクをイーサン・ホークが、これまた見事に演じる、アントン・フークア監督の出世作。
デヴィッド・エアーのプロットも冴えわたる一級品のサスペンスクライムムービーである。>
■2023年9月11日。
ナント、「イコライザー」の最終作が公開されるというので、敢えてレビューに、筆を加えた次第である。