「幅」デンジャラス・ビューティー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
幅
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時代を感じる。
コメディ全振りなのだけど、ハリウッドのエンタメ精神を感じる。
芝居や照明すらコメディをコメディらしくしているかのようだ。照明は明るいし芝居はただの一瞬も重たくならない。シリアスにアプローチ出来る台詞もあるのだけど「いや、ここはコメディなのだから、こっちで」みたいな配慮を感じる。なので、全く構える事なく観ていられる。
結構、時代の風刺は入っていたり、ミスコンを取り囲む環境だとか、同性愛者の話とか、チクリと刺す針のようなものも入ってる。
そしてサンドラ・ブロックが素晴らしい。
色気など皆無のガサツな女性から、ミスコンの優勝者でも通用するような気品ある女性まで、全く違和感なく演じてみせる。
変顔はハマるし、鼻はフガフガさせて笑うし、ガニ股で普段歩いてんのかと思う程馴染んでるし…。
女優の御手本みたいだ。
完璧以上にこなせるからこそ、崩せる。崩せるからこそ崩さない状態が際立つ。
ステージの上のダンスもそうだけど、彼女がグレースを飛び越えてサンドラとして振る舞う仕草や気品は、やはり一級品なのだ。
全く色気など出す事もなかった本編なのだけど、最後のキスでみせる眼差しは、ビックリする程色気も情感もたっぷりだ。
作品も俳優の演技も、何通りものシステムを有してるハリウッドのエンターテインメントの表現力に感服した。
まるで、皆んなで申し合わせたかのように足並みが揃ってる。見事でした。
作品自体は、旧作ではあり古さを勿論感じはするものの、女性の美しさや色気、アクションとサスペンスもちょろりと王道を外れない作りだった。
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