「クリスマスのラブストーリーで1番好き」天使のくれた時間 ぽぽさんの映画レビュー(感想・評価)
クリスマスのラブストーリーで1番好き
「ラブ・アクチュアリー」、「セレンディピティ」、「めぐり逢えたら」など観てきたが、この界隈の映画の中では一番好きだった。クリスマス映画が観たくてなんとなく選んだのが大当たり!
あらすじはシンプル。ウォール街で成功した億ション住みの男が、もし学生時代の恋人と結婚していたら…という、たられば話。最近はメタだのバースだの転生だのが流行っているが、風呂敷を広げすぎたり、設定が複雑で物語というよりゲームみたいだったりと辟易していた。しかし「なーんだこれくらいシンプルな方が面白いじゃないか!」と原点回帰。複雑な構成が苦手な自分には、「素晴らしき哉、人生!」、「クリスマス・キャロル」のような、どシンプルがやはり良い。
しかしラストは予想していたものとは違った。「どうせ最後に天使がまた現れて、結婚していたパターンを選ぶんでしょ」と思いながら観ていたが、そんな誰でも思いつくアホなものではなかった。
冒頭とは対照的に、ラストはジャックがケイトに行かないでくれと空港で懇願。立場が入れ替わるひとひねりあるラストだ。また天使は本当にいたのかすらも分からなくなるビタースウィートな余韻まで残る。今までのドタバタコメディとは打って変わって、しっとり大人っぽく物語の幕が下りてゆく…。
ちなみにジャックとケイトが復縁するのか?匂わせる最後の画が、日本版ポスターに使われており、「天使のくれた時間」という邦題と見事にマッチしている。「天使のくれた時間」とは、結婚していたパターンの時間なのか、それとも最後の空港での一夜のことなのか…。この邦題、ポスターと一緒に見ると沁みるな~。この映画の神髄を正しく伝えようとする当時の日本の売り手の熱意も感じた。
理性では「なんやかんやセレブな生活の方がキラキラして楽しいでしょ」と考えるものの、鑑賞中は「妻子のいる人生を大切にして!」と強く思ってしまう。(特に子供のいる方はそうかもしれない。)現実より物語を信じてしまう…これは作品が観客を魔法にかける力を持っている証拠だ。
個人的にはジャックとケイトが家でチョコレートケーキを奪い合うシーンが、キュートでラブラブで好き!ティア・レオーニがめちゃ可愛い!