テイラー・オブ・パナマのレビュー・感想・評価
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仕立て屋の嘘
5代目ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンだからもう少しまともなスパイアクション映画かと思ったが、原作者のジョン・ル・カレは自身も諜報部員だった経験からボンドなんて妄想の産物だと言わんばかりに堕落したエージェントをボンドへの風刺劇のように描くからとんだ肩すかしにあってしまった。
アンディ(ピアース・ブロスナン)は身を持ち崩してパナマに飛ばされた落ち目のMI6エージェント、そのせいか好色ぶりと抜け目なさばかりが目について興醒め。
セレブ向けの仕立て屋ハリーは付き合いも広くアンディが情報源として目をつけるのは理に適ってはいるのだがこのハリーは追い詰められると嘘で繕う虚言癖の持ち主、アンディの悪知恵とあいまって話はとんでもない方向にエスカレートしてしまう。
皮肉と風刺が表立ち、スパイアクションとしての面白味には欠けているのでこの奇妙な二人の人間性を愉しむ趣向の映画なのでしょう。
私には合いませんでした。
左遷された口八丁手八丁な情報員が、パナマ運河を抱えるパナマで失地回復するため現地のテイラーを脅して情報を引き出そうとするが・・・というストーリー。
コメディにしては笑いや明るさが欠片もないし、シリアスにしては余りにも軽くふざけ過ぎています。
最後は早送りして終了しました。
スパイの真実に迫った?
総合:75点
ストーリー: 80
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65
スパイという職業は地味で汚い騙し合い。情報を得るために困っている相手を探し金を出し弱みを握り、煽てて脅して相手を統制する。だが彼は通常の映画で描かれるような国家を救うために働くわけではない。ジェームズ・ボンドのように女王様に忠誠を誓い命懸けで派手に動き回るスパイだけがスパイではない。その権限を国家や組織のためではなく、自分のために使う陰謀の物語設定がよく出来ている。
このような過去の経歴の悪いスパイを唯一の情報源として信じて、国家がこれだけ本格的な計画が実行するのかというのは疑問に残る。しかし複雑な情勢の絡み合いとそれを利用して悪巧みをしていく人々の様子の描き方が面白い。
二人の登場人物の性格がきっちりと設定されているのもいい。かつてのジェームズ・ボンドだったピアース・ブロスナン演じるスパイのアンディは、頭は切れるが自分のことを最優先する快楽主義者。ジェフリー・ラッシュ演じる仕立て屋のハリーは、過去の人生の経験の結果として全てを嘘で固め、客商売上では相手の求める物語を嘘を紡いで作り出す。
一人は自分の立場のために情報を欲しがり、もう一人は借金等のためにその相手が欲しがる情報を作り出す。その結果として話が大きくなりすぎて収集がつかなくなるが、それすら利用して国家を巻き込みながら自分のために情報を操作するスパイと、ただ借金返済のためについた嘘が手におえなくなり、必死で取り繕おうとする二人の人生。その対比も良かった。
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