「人種間の闘争を描いたアメリカ映画らしい青春群像」ワンダラーズ Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
人種間の闘争を描いたアメリカ映画らしい青春群像
アメリカ映画における青春群像には、一種独特な雰囲気と形式がある。それは、身分的にも経済的にも区別された様々な人種の混合体と言える。それ故同じ人種のグループ化、その仲間意識が強ければ強いほど対立を生み、トラブルから闘争欲も刺激され社会問題化する。それを映画で表現するには、まず力強いタッチが必要だ。改めてこの作品を観ながら、そのことを思い、結局それがアメリカ映画の面白さのひとつなのではないかと考える。同一民族の日本ではあり得ない文化の複雑さがある。しかし、映画の中身にその表現の力強さは感じなかった。主人公を演じたケン・ウォールという新人俳優にあまり魅力が無いのが致命傷。彼と婚約するデスピー役の女優と恋人ニーナのカレン・アレンの存在感も弱い。青春映画のキャスティングは、演技力以上に俳優に魅力が無いと生きない。監督のフィリップ・カウフマンも初めて見るが、映像はシャープでアメリカ映画らしい演出タッチ。前作「SF/ボディ・スナッチャー」は一部で好評を得たが観ていない。ケネディ暗殺の時代背景のノスタルジーの青春群像劇。
1980年 5月25日 銀座文化2
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