「公開時は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地雄覇』。」ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
公開時は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地雄覇』。
日本で二つ名があり、原題・英語タイトルもあり。ややこしい。
要は、解説で説明されている事情で、『~ 天地雄覇』で公開されたが、「シリーズに間違えられて、紛らわしい」とハーク監督シリーズと区別するために『ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲』というタイトルになったのだとか。
主演のリー氏が製作も兼ねていて、私にとっては生真面目な印象だったリー氏って、実はこういう作風の方が好きなんじゃ…と思わせてくれる。
人によっては”黄飛鴻”のパロディ映画と評する。
この監督の作品を私は『カンフー・カルト・マスター 魔境教主』しか見ていないが、監督の持ち味炸裂とこの作品を評する方もいる。
幕ノ内弁当的?カンフー映画。ほんとに、テイスト盛りだくさん(笑)。
背筋も凍る夜の場面から始まり、幽霊映画?と思わせつつ、まったくテイストが違う場面に変わる。
清廉潔白高潔な飛鴻は、弟子に引っ越し先を探すことを託す。人選を間違えたのか、弟子が家主に言いくるめられたのか、弟子を信用しすぎたのか、契約した引っ越し先は娼館の隣だった!!!
そんなシチュエーションからくるドタバタ喜劇かと思えば…。話はあれよあれよと様々な枝葉が拡がり、どこにいくんだあと思わせつつも、しっかりと冒頭のエピソードやあれやこれやをしっかり回収して展開していく。とりあえずまとめているよ。すごいなあ。
かっこいいジェット・リー氏を期待すると、肩透かし。
武術の場面は本当に綺麗でカッコイイが、設定が…。リー氏の役はひたすらまじめに誠実にとういうスタンスなのだけど、それが空回りしてやたらに笑いを誘う。
ワイヤーアクション炸裂。炸裂!炸裂!!!なのだけれど…。
空を闊歩する!
飛翔する!
えっ?スパイディが憑依した?
その開脚!!!
吊るされたままでのあのキック!!!どれだけの筋力なんだ!
しかも、リー氏を筆頭として、エキストラに至るまで皆動きが美しい。
モダンバレエか、曲芸サーカス、新体操を見ている気分。
軽やかに舞い、それでいて組み手の時の重量感!!!
う、うう。
鶏とムカデの闘い。
元々は農業を主体とした村の、日本でいう田楽のような祝い神楽なのだろう。
だが、その戦いを、怪獣?戦闘戦隊もの?のようなアクションの演出!(笑)!
ムカデの足たちの動きが美しく揃っている!ほぉ~!!!
鶏演じるリー氏はこれでもかと軽々と飛翔する。鶏と言うより軍鶏。闘牛ならぬ闘鶏もあるか。そして時折鶏そっくりな所作も!誘拐阻止!というまじめなシーンのはずなのだが、なんか、表情と言い、悪戯小僧を観る気分。あんなコスプレするのねぇ(笑)。
そのシーンに流れる音響も。あはははは。たぶん、真面目に音をつけているんじゃないかと思うところも笑いを誘う。真面目にねらった?
そして、ムカデの頭を演じる方が、あ、あの『ドラゴンゲート』の方!と、ここでも興奮・大笑い(笑)(笑)!あちらでも笑わせてくれましたが、コメディ役者なのでしょうか?
娘たち奪還のダンジョン。
舞台は、紺と白を基調とした、ゲームの世界のような異世界観満載。テーマパークとしても良いような美しさ。
そこでの、肩幅くらいの吊り橋のようなところでの激闘!!
敵キャラ、ランタンに乗っての登場!!!(笑)(笑)(笑)
忍者のような演出もあり。
うっとりと美しく、興奮しつつも、笑える(笑)(笑)(笑)。
酔拳。
リー氏が本当に酒に酔っているよう。
その動きを見ているだけでも、うっとり…。
他にも他にも…。
そしてアニタ・ユンさんは天海さんに似ていて美しくてかっこいい。
おお、その開脚って、バレエダンサーか、体操選手か。キマル✨。
ジェット・リー氏に何を求めるか、カンフー映画に何を求めるかによって、評価は大荒れしそうだけれど、私にはハマりました。
張り詰めた心に脱力系。良いかも v 。