「掟を守る神父の誠実な人間性を演じたモンゴメリー・クリフトの好演が光るヒッチコック映画」私は告白する Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
掟を守る神父の誠実な人間性を演じたモンゴメリー・クリフトの好演が光るヒッチコック映画
サスペンス映画の巨匠ヒッチコック作品にしては、特に傑出したテクニックを披露してはいない。嫌疑を掛けられた者が追い詰められて絶体絶命の危機に襲われるプロットはいつもの通りだが、この映画の面白さは、犯行の懺悔を聞かされた神父の主人公が誰にも公言出来ないというキリスト教の厳格な掟に縛られる設定の希少性である。多神教の大らかな宗教観を持つ日本人から見れば、絶対に成立しないであろう事件の展開に興味をそそられる。
そのキリスト教の掟を守る誠実で真面目な神父を、アメリカ映画の俳優で最適任のモンゴメリー・クリフトが文字通りの好演で魅せてくれる。特にラストの裁判所から現れるシーンでは、群衆の好奇な視線を浴びながら歩いていく主人公の動揺を抑えて冷静に対処しようとする神父の人格面が、見事に表現されている。
先が読めない事件の進展にはヒッチコックらしい作劇の巧みさがある。結末の急展開にもうひと捻りあれば誰もが認める傑作になったであろう。しかし、モンゴメリー・クリフトの適役から生まれた神父の人柄に、哲学的な人間観察と洞察のテキストに成りえる価値があると思うので個人的には大好きなヒッチコック作品になった。
1997年 2月3日 衛星第2
おはようございます。共感ありがとうございます。貴殿のレビューに共感いたします。
概ね、実にキリスト教的で、神父の行動を日本人には理解出来ないと思います。
しかし、彼の戦中設定が志願した兵士であった事と、殺人者のセリフに『亡命者で教会に世話になった』と言っています。
ヒッチコックの計算された脚本(実際は彼の脚本ではないようですが)を考えると結末がベタ過ぎて、その点が気になっています。
貴殿の叡智で何かおわかりの事ありましたら、お教え頂ければ幸いです。
それは兎も角、アルフレッド・ヒッチコックはハズレの無い監督だと思っています。
貴殿の鑑賞時間を邪魔して大変に恐縮しております。申し訳ございません。