惑星ソラリスのレビュー・感想・評価
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地球に帰りたくなる映画‼️
エイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」が映画史的に一番重要なのかもしれませんが、私がロシア映画で一番好きなのは「惑星ソラリス」であり、アンドレイ・タルコフスキー監督‼️私的には「惑星ソラリス」がタルコフスキー監督の最高傑作だと思う‼️海に覆われた惑星ソラリスに、地球から心理学者ケルビンがやって来る。ソラリスの海は生命体であり、人間のイメージを実体化する力を持っていた。そして、ケルビンの前にも10年前に自殺したはずの妻ハリーが現れる・・・‼️実に3時間に及ぶSF大長編です‼️しかし、いわゆるSF的な描写や映像はほとんどありません‼️ソラリスの海もまぁ海だし、あえて言わせてもらえば宇宙船内のセットぐらいでしょうか‼️この作品は宇宙の旅ではなく、主人公ケルビンの意識の中にある故郷・地球への郷愁、亡き妻への変わらぬ愛、そんな「記憶」の数々ですね‼️「鏡」とか「ノスタルジア」でも記憶が重要なテーマになってると思うのですが、今作ではSFと言う枠組みで、そんなテーマを結晶化させている点が素晴らしいと思います‼️ケルビンの裏切りがハリーの自殺の原因になっており、いわばケルビンにとってのトラウマ‼️そんなトラウマであるハリーが眼の前に現れることで、ケルビンは自らの罪の意識と向き合わねばならない‼️ホントに深いです‼️最初ハリーの記憶はない‼️ハリーをカプセルに閉じ込め、宇宙に放出しても、次の日には何事も無かったように新たなハリーが現れる‼️そして徐々に記憶を取り戻していくハリー‼️そんなハリーと対峙するうちに、ケルビンは恐怖と贖罪意識と戦いながら自らの過去を見つめ、改めて幻のハリーを愛して、受け入れる‼️シャンデリアがしゃらしゃらと音を立てる無重力空間で、ケルビンとハリーが浮遊するシーンはホントに美しくて鳥肌が立ってしまいます‼️そしてラスト、ケルビンとハリーはソラリスの海が作り出した、懐かしい故郷・地球へと帰っていく‼️なんという感動的で素晴らしいラスト‼️自らの罪と向き合うという、哲学的な側面もあるのですが、ヒジョーに分かりやすい作品だと思います‼️水草が揺れる水面の美しいイメージ、東京の首都高速道路の映像が採用された未来都市の場面、神秘的な青いプラズマのソラリスの海もホントに美しくて、最近のハリウッドの物々しいCG映像で描かれる派手なだけのSF映画と比べると、ホントに心が洗われるような美しさですね‼️さすがは映像詩人、アンドレイ・タルコフスキー監督‼️彼が紡ぐ「愛の本質」に、いつまでも身を委ねていたい作品です‼️
低予算エスエフ傑作
レムの原作が丁寧に再現されている。中だるみ感があるとよく言われているが、レムが好きなせいなのか、そんなに気にならなかった。
確かに科学者同士の専門的な会話が多いし、他のエスエフみたいに視覚的な派手な演出もない。
しかし、長まわしのシーンはロシアのどんよりとした天気もあいまって鬱々としていながらも美しく、ソラリスの世界観と主人公が精神的に囚われていく描写がうまくマッチしている。
現実に生きるよりも、ソラリスが創るファンタジーに逃避すること…自分の作り出す思考の中へと囚われていくことを敢えて選択したクリス。
ノージックの経験機械に通じる。本当のようなフィクションであれば、それはリアルに勝るのか。
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