劇場公開日 1949年12月

「One for me」若草物語(1949) Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0One for me

2020年6月7日
iPhoneアプリから投稿

オープニングタイトルの刺繍からその世界に誘われる。セットの中で行われるお芝居は、その時代を感じさせるが、舞台劇を観ているようでもあり、現代においては演出として効果を持つ。生活が苦しいことを示す薄汚れた感じや、とはいえ寂れた感はなく、ひとつひとつの調度品や服装は、愛情深い家族に大事にされているに違いなく、それぞれのカットが多幸感溢れる絵画のように映る。
ストーリー全体のバランスからするとジョーが旅立った後の話にもう少し尺を与えても良さそうであるが、前半の四者四様の描きこみ方あって、家族の有り様が変化した後半における愛おしさがひとしお。同じ4姉妹の海街diaryもそうであったが、いつまでも続くわけではない家族の貴重な時間をおさめる。
家族とコミュニティの強さは古き良きアメリカで、現在では隔世の感はあり。しかし、古い映画を選んでいるのだから、それに浸るのも良い。その古い舞台設定ながら女性活躍を志向する主人公ジョーの姿は、我々の世代を育てた、上の世代の女性の心を動かしたに相違ないなどと思っていると、タイムマシンの載せられたような気持ちにもさせてくれる。
グレタガーウィックがどう取り組むか、期待が高まる。メリルストリープがマーチ叔母さんとは、想像するだに楽しみ。

Kj