劇場公開日 1967年7月1日

「【”沈黙。そして王より神の僕として死ぬ。”今作は高潔高邁なるトーマス・モアが、王の望みを断り神の元へ行く様を描いた英国歴史絵巻であり、荘厳なる構成、意匠、衣装の出来栄えなど見事なる作品である。】」わが命つきるとも NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【”沈黙。そして王より神の僕として死ぬ。”今作は高潔高邁なるトーマス・モアが、王の望みを断り神の元へ行く様を描いた英国歴史絵巻であり、荘厳なる構成、意匠、衣装の出来栄えなど見事なる作品である。】

2025年10月24日
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■1500年代前半の英国が舞台。
 若く美しい宮廷女官アン・ブーリンと結婚したい国王ヘンリー8世(ロバート・ショウ)は、王妃キャサリンとの離婚の許可をローマ教皇より得るため、人望あるトーマス・モア(ポール・スコフィールド)にローマ教皇への進言を求める。
 だが信仰心の篤い高潔高邁なるトーマスはこれを拒み、国王の怒りを買って死刑を宣告される。
 牢に入れられた彼を説得に来る、妻、娘。だが、彼は考えを曲げずに法廷に立つのである。クロムウェル(レオ・マッカーン)を見事に論破するトーマスだが、且つて彼に公職に就く事を拒絶されたリチャード・リッチ(ジョン・ハート)が、クロムウェルからウエールズの検事総長の座と引き換えに嘘の証言をした事で、有罪となり、断頭台に立たされるのである。

◆感想

・今作の公開が、1966年という事に驚く。
 重厚な作りであり、ほぼ歴史通りの筋書きでありながらも、トーマス・モアの高潔高邁さを際立たせているのである。

・歴史的にも、トーマス・モアが高潔なる人物として名を残しているのに対し、嘘の証言をしたリチャード・リッチは、恥ずべき人物として名を残しているのである。

・映画のエンドでテロップで出るが、クロムウェルは死罪になっているのである。

■英国民は、国王ヘンリー8世及び、アン・ブーリンとの間に産まれ、英国の黄金時代を作った人物となったエリザベス一世の話が好きなようである。
 エリザベス一世の生涯は多数有るが、私はケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」及び「エリザベス ゴールデンエイジ」を配信で観て、劇場では「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」を観た。
 思ったのは、学生時代に歴史を学んでおいて良かったという想いと、英国民が何故に、エリザベス一世を敬愛するのかが、よく分かったのである。
 日本でいえば「三英傑」と呼ばれる、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の映画が多数存在するのと似ているのであろう。

<今作は高潔高邁なるトーマス・モアが、王の望みを断り神の元へ行く様を描いた英国歴史絵巻であり、荘厳なる構成、意匠、衣装の出来栄えなど見事なる作品なのである。>

NOBU