ワイルド・スタイルのレビュー・感想・評価
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一つの文化が立ち会った瞬間に居合わせたような感覚に陥る、比類なき歴史的価値を持った一作
ストリート・カルチャーにうとい、というかかつては、むしろそうした表現・活動を「不良文化」と思って反発すら憶えていた観客による感想です。しかし本作の、荒削りだけどエネルギーに満ちた映像は、そんな反発心と時代を易々と乗り越えて、まるで「ヒップホップ」と総称される文化が誕生した40年前の、「この」瞬間に居合わせたような感動を与えてくれたのでした。
さすがにヒップホップカルチャーに全く関心がない人にまで強くおすすめすることはためらうものの、音楽ファンはもちろん、「自分の表現で世の中に打って出たいけど、どうしていいか分からない、自信もない」という人には、必ず何らかの得るものがあると確信を持って言える作品です。
同じくヒップホップカルチャーの黎明期を記録した作品である『スタイル・ウォーズ』(1983)も最近公開されましたが、こちらはグラフィティアートなどの担い手達が実名で登場したドキュメンタリー形式だった一方で、本作は幹となる物語を持つ、劇映画としての体裁を持った作品です。主演したアーティスト達は『スタイル・ウォーズ』同様、実際に活動している方々であるものの、本作では役名で登場しています。これは(『スタイル・ウォーズ』でも触れていたように)グラフィティアートが当局の取締の対象となっていたため、警察の追及を逃れるための措置だったということです。
さまざまなアーティスト達の活動が収斂していく後半のステージは、圧巻の一言。そしてコンサート会場に描かれる大規模なグラフィティは、まさかの無許可での制作!社会の常識に照らし合わせれば決してほめられた行為ではないのかも知れませんが、本作のアーティスト達が醸し出す、自らの身体を用いた表現に対する言いようのない衝動、そして眼前で展開していることが現代音楽史に残る出来事だと確信して、何が何でもこの様子を残さねば、という撮影スタッフの強烈な使命感に圧倒されます。
以前たまたま、40年前にまだヒップホップという言葉もほとんど知られていない日本に本作を紹介し、劇中に登場したアーティスト達を日本に招聘した方のインタビューをラジオで拝聴しましたが、これも本作に劣らず滅法面白い内容でした。こちらも必聴。
面白いですYO!
やっぱりコレだよ!コレ!
こうやってこうなったんだ!が分かりやすかった。ラップについても地下鉄のアートについても。
ヒップホップ映画の原点
一応作劇上の主人公はグラフィティライターのレイモンド(冒頭に米軍勤務の兄に説教される愚弟賢兄を地で行くシーンがある)なのだが、女性美術編集者との逢瀬以降何となく影が薄くなりそのままラストの野外ステージライブになだれ込み、その熱狂の中でどうでも良くなる。
重箱の隅レベルで悪く言ってしまえば未整理かつ散漫なのだが、それで良いんです。ヒップホップほぼ最初期のドキュメンタリーも兼ねてるので。
各社から出てるDVD版ではグランドマスター・フラッシュのDJシーンでボブ・ジェームスの「マルディグラに連れてって」を2枚使いする箇所が著作権の関係で似た感じのインストにダビングされてるのが残念。
なお、おたのしみ研究所(渋谷HARLEMの運営母体)からリリースされてたVHS版では…?
他にも、故ラメルジーのライブは圧巻の一語。
ヒップホップに興味のある方は是非。
NYの昔が見える映画、好きです
貴重な記録映画
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