「全て人間のせい。」ロスト・ワールド ジュラシック・パーク movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
全て人間のせい。
前作で懲りない創設者ハモンドお爺さん、老害に近い。ジュラシックパークがある島に運ぶために恐竜を育成している島に、自分は行かずに調査団体を派遣し、世論の賛成獲得のために自然に任せ恐竜育成することを賛成するレポートを欲しがる。
マルコム博士登場、もちろん大反対するが、離婚後付き合っている植物学者の彼女、サラが数年猛獣研究もしたのち既に現地入りしてしまったとのことで仕方なくすぐに島に乗り込む。今回の仲間はカメラマンなど。
前回は、シリーズ初作であり、とにかくティラノサウルスが暴れ回り、恐ろしいパニック映画のイメージ。人間の手には到底負えない恐竜を復活させる危険性を説きながら、さまざまな角度から利権が絡む事を描いた。
今作は、前作の事態を報道の情報操作で隠蔽し、世論を和らげようとするパーク創設者ハワードだけでなく、島で自然の中で育った恐竜を連れてきて高値で売ろうとするインジェン社のアホ達、インジェン社に派遣された軍隊さながらの捕獲のための団体も登場してくる。
インジェン社派遣の調査団体がキャンプに武器にと色々運んでいるのに、レポート目的で、カメラや麻酔銃以外はキャンピングカーと身ひとつ、のような軽装マルコム博士達。しかも離婚後寂しい思いをさせている娘が隠れてついてきてしまう。何が起こるかわからない、命の危険があるに違いない恐竜の島に娘が来ているだけでかなりKYで強く出られないのはわかるが、他のメンバーも周りの意見を聞かず1人で山道を奥まで進んだり恐竜を触ったりするトンデモなサラに、捕獲団の乱暴により怪我したティラノサウルスの子供を保護しようと連れてくるアホに、話にならない。性格は悪くないにしても、死んでも自業自得な面々。
子ティラノを探して仲間が来るから逃げようよ、と娘は忠告していたのに、ろくに聞かないマルコム博士。
案の定ティラノサウルスは子供を探しに来てパニック再来するのだが、マルコム博士は安全な木の上とはいえ娘を置いて助けに行って巻き込まれるし、ティラノサウルスに崖から落とされそうになったバスを落ちないように助けようとロープを結んでくれた人は食べられてしまうし、どいつもこいつも、、といったところ。
前作のただ恐竜を恐れる内容ではなく、恐竜側にも感情や母性があることがテーマになっていて、母ティラノが子供を探して駆け回るのだが、母性があるのが分かったのに、子ティラノの血がついた服をいつまでも着ていないでよサラ!匂いで寄ってくるに決まってるよね?しかも捕獲目的の団体も無線を失い合流して一緒に電力があるかもしれない建屋までラプトル生息域の中を通過して進む事に。そのキャンプにまで血の服持ってくるサラ。おかげでマルコム博士の娘も寝てたのに危険に晒されたし、本当にありえない。
結果、無数のコンピーに襲われ1人死に、何が起こるかわからない森でイヤホンとかしているアホも食べられ、ラプトル生息域の草深い茂みでは知らぬ間にどんどん人数が減り、犠牲者たくさん。
捕獲団より先に廃れた情報センター跡地にうまく入り込めたのはマルコム博士と娘とサラと、1人先に行き電力を戻して助けを呼んでくれた男性ひとり。ラプトルがまた来て、迫力満点。体操チームに2軍でいるマルコム博士の娘が建屋の鉄パイプで回転しラプトルを蹴り飛ばしたりと大活躍。捕獲団より先に4人で救助ヘリに乗り込むが、空から捕獲団が目的どおりティラノサウルスを捕獲し縛り付けるところをヘリから目撃。
せっかく無事に生きて帰って来られたのだからそこで手を引けば良いのに、後日その恐竜が港に運ばれお披露目されるイベントに何故か乗り込むマルコム博士とサラ。
母ティラノ、島から会場までの船の中で乗員を食べ尽くし、運転手なしの座礁で船着陸、サンディエゴの街に巨大ティラノご登場!
そこからは住宅街にまでティラノサウルスが押し掛け、ジャングルの中で見るのとは違い人間の暮らしのスケールに入ると恐竜の大きさがより一層巨大に見え、ちっぽけな人間の脳内で考えることなど今はどうでもよく、ただ命拾いに向かって動くのみ。
マルコム博士とサラはインジェン社社長が隠し持っている子ティラノを持ち出しに行き、船の波止場まで車で運んで母ティラノを誘き寄せ、間一髪、母ティラノが追いつく前に命からがら逃げてくる。ぐずぐず欲にまみれた考え事をし、子ティラノをなめていた社長は餌食に。
親子ティアラは再び護送船をたくさんつけて恐竜島に送還される。
ラストシーンでは前作より大きくプテラノドンが映り、大きく羽ばたき、止まって翼をたたむ姿の堂々とした風格。人の手がない中でも一度産まれれば自然界の中で命の営みを続けていく恐竜達の逞しい姿が見てとれる。
恐竜捕獲には成功したが、「仲間を失った。これ以上仲間を失いたくないんだ。もうたくさんだ。」という陸軍曹長のような隊員の発言が印象的。いや、やる前からわかっていたでしょうよと前作も見た私達は言いたくなるが、大抵の人は目の前に恐竜がいる現実を受け入れるところから始まるし、興味がなければそのスケールと恐ろしさには疎いのかもしれない。
わかっているのに、迂闊な行動をするサラにはうんざり。マルコム博士、趣味悪いよ〜。娘の賢さを見るに、元妻の方がお似合いだったんではないかしら。
〇〇したい、などの欲望や意思よりも、ただ生きるための命を優先して動ける者のみ、運が良ければ生き残る。命あってこそ。でもそれは恐竜側も同じで、子供を探す親だって訳わからない人間の暮らしの中に彷徨い込んで、命懸け。強欲な人間さえいなければ。。