「『クローズZERO』も『HiGH&LOW』も憧れた」ウォリアーズ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
『クローズZERO』も『HiGH&LOW』も憧れた
アウトサイダーな若者たち、それぞれ特色のあるグループ、派閥争いや抗争…。
ストリート・ギャング映画や邦画の『クローズZERO』『HiGH&LOW』など不良映画の原点ではなかろうか。
ウォルター・ヒル監督による1979年の不良アクション。
NYブロンクス公園で行われたストリート・ギャングたちの大集会。
その最中、カリスマ的リーダーが殺される。
濡れ衣を着せられた“ウォリアーズ”は、追撃をかわし、夜の街を疾走する…。
話はシンプルと言うか、本当にただそれだけ。
なので、話の面白味はあまり期待出来ない。
また、この時代特有の作風と言うか、決して今の作品のようなアップテンポでスピーディーな展開ではなく、何処かユルい点も感じられる。
バイオレンス描写もそれほど過激ではない。(今の作品が無駄に過激なだけ)
しかし、要所要所のアクション・シーン(身体を張ったトイレ内での乱闘)やペキンパー継承とも言えるスローモーションなど、後にアクション派の名匠と言われるヒルのこだわりの演出が冴え、飽きさせはしない。
ユニークなのはやはり、個性豊かなグループ。
取締役的なグループ、女だけのグループ、人数の多さで意気がるグループ…。
中でも、野球のユニフォームのグループは、見た目もメイクも無言の襲撃も強烈インパクト! 夜の街中でばったり出くわしたらマジ怖ぇ…。(でも、見た目に反してあんまり強くなかったけど…)
“ウォリアーズ”もカッコいい?ダサい?な格好で個性が立ってるが、何だか普通に見えてくる。
そして、この騒動の犯人。撃った理由も“ウォリアーズ”に罪をなすり付けた理由も、「何となくやっただけ」という衝撃…。キチ○イさは今の時代の若者にも通じる。
不良たちが暴れ回る。
公開時全米では不良たちが本作を見て熱狂し、事件まで起こし、上映禁止した州もあったそうな。
確かに教育的にはよろしくないかもしれない。
何か得られる訳でもなく、作品的にも難点があるにはある。
が、追撃や襲撃や修羅場をくぐり抜け、夜明けと共に迎えた潔白。
ラストシーンの彼らはその名の通りの闘い終えた“戦士たち”。
若者でなくとも彼らに抱く憧れやカッコよさは、今も昔も変わらない。