レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想いのレビュー・感想・評価
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美しき近代アメリカ
主演ブラッド・ピット。
監督は『マーシャル・ロー』のエドワード・ズウィック。
とある家族の半世紀をつづったメロドラマ。
【ストーリー】
19世紀の終わり、インディアンと共に騎兵隊として働いたラドロー大佐は、引退後モンタナで牧場を経営していた。
知的な妻イザベル(カリーナ・ロンバート)とのあいだに三人の男児をもうけたが、妻は田舎に順応できず、文化的な東部に去ってしまう。
次男のトリスタン(ブラッド・ピット)は傷つき、母のことは決して口にしないと誓った。
三兄弟は成長し、母親のもとで大学に通っていた三男のサミュエル(ヘンリー・トーマス)が、美しく知性的な婚約者スザンナ(クリスティーナ・ピクルス)をつれて家にもどる。
兄のアルフレッド(エイダン・クイン)はひと目でスザンナに心奪われてしまう。
だがスザンナもまた、山の王の風格をまとうトリスタンに心を奪われていた。
目をみはるのは、美しきアメリカ北部の景色と外見の整ったキャスト。
ワイルドかつ優美なトリスタンを演じるブラビはじめ、厳しくも賢明な父親役のアンソニー・ホプキンス、都会的な母親イザベル役のカリーナ・ロンバート、責任感の強い兄にエイダン・クイン、一本気な弟のヘンリー・トーマス、その婚約者ジュリア・オーモンド。
使用人のインディアン(近年またこう呼んでもいいとなったとか)であるワンの視点から語られる、誇り高き一族のドラマ。
そこに美しきスザンナが訪れることで、兄弟たちに大きな変化がおとずれます。
ストーリーはよくも悪くもメロドラマで、感傷的な恋愛モノが苦手な自分には消化しづらくもありました。
ただ、近代のアメリカって、幕末の日本に似て魅力的なんですよ。
悪名高き禁酒法はじめ、理不尽なルールが市民に課せられた背景やその生き様がドラマチックで。
残念ながらアクションパートは、当時でもリズムが悪く、すごく残念な仕上がりです。
それでも風光明媚な北部の牧場風景は、それだけでこの映画を見る価値のある美しさ。
『西部開拓史』や『大いなる西部』、『大草原の小さな家』などが好きなら、十分に楽しめると思います。
アンソニーホプキンス
ブラッドピットを観たくて何の気無しに見始めたのだけど、プラピがカッコ良いのはもちろんなんだけど、
やっぱりアンソニーホプキンスなんだなと言うのが
率直な感想。
ブラッドピットを中心とした三兄弟と彼らが愛した女性の話しなんだけど、それを見守る親父としてのアンソニーホプキンスの存在感と後半の老いてからの快演は流石の一言だった。
前半は正直つまらね〜と思ってたけど、
戦争からの帰還からの息も付かせぬ展開は
目が離せずとても面白かった。
ただ愛の話だけに集約せずに復讐の展開は
胸熱だった。
生き方の違いで相入れない長男と次男の関係も
底には愛情がずっとあるからとても切なく、
ラストに待ってる演出にグッと来ました。
愛の話の割に案外ヒロインが地味な印象はあったけど、
彼女の揺れ動く感情も繊細に細かく描かれていて
兄弟の関係が観たい者としては邪魔かなと思ったけど
嫌いにはなれなかった。
最初はどうかなと思ったけど観てよかったです。
ブラピのカッコ良さだけ
ストーリーは難しくないのですが、観終わってからどう表現したら良いのかわからない…という感想です
特に面白かったというわけでもなく退屈したというわけでもないのですが
ブラピ演じる次男のトリスタンが、野性的なのに優しいっていう男性で、周りの人全員から愛されているんです
そんな弟を妬んでいるような長男のアルフレッド、でも結局は弟想い
3兄弟みんなから愛されるスザンナ、嫌な女の人ではないんだけど、求められた立場であってもこっちがだめならこっちっていう女の人にも思えて、私には「うーん」なヒロインでした
そんな感じで私には「だから何が言いたかったん?」でした
私のなかに残った感想は、ブラピのイケメンぷりと美しい自然の雄大さだけでした
「Fall」の意
元騎兵隊大佐だったラドローは、牧場で三人の息子と先住民ともに牧場で暮らしていた。時が立ち、三男サミュエルが婚約者スザンナを伴い帰郷。そして第一次世界大戦勃発で三人兄弟は出兵、その後禁酒法時代へ。ラドロー家の激動の50年の物語。
父子兄弟の葛藤を、次男トリスタンを中心に描かれています。雄大な自然と過ごし、普通の人間社会に収まらないトリスタン。それゆえ、彼に起きてしまう出来事が悲しい。
サミュエル演じるのは、「ET」のエリオット少年。トリスタン演じるブラッド・ピットが、敵の頭皮にしてしまうところで「イングロリアスバスターズ」を思い出しました。
「Fall」の意味を考えると、冒頭の語りにある落ちる葉の月、秋、また凋落とかも含まれているのか。
牧歌的な風景に輝くブラピに萌え
戦争の傷跡は人生を変えてしまう
繰り返される愛情と懺悔
強い絆で結ばれた3兄弟の中に全員を魅了する三男の婚約者が登場し愛情の矢印が交差する。
家族を見守る先住民族の目線で語られる(英語を嫌ってるはずなのに語りでは英語なのが面白かった)
兄弟みんなで強い正義感を持つ三男を筆頭に戦争に行くのだが、その三男を守るために次男が全力を捧げるところに強く共感した。弟を守るためならきっとなんでもできる。
冒頭の牧歌的な風景から徐々に崩れていく家族の絆が、衰退していく牧場と重なった。
次男の物語だけで一つの映画が描けそうなぐらい、破天荒で濃いキャラクターだった。若干本筋とのズレを感じて若干最後気持ちがぶれてしまった。ただブラッドピットの長髪に流し目が美しすぎて、あれは一瞬で恋をしてしまう…。
あと、牧草地の情景が個人的にとても好みだった。
心が締め付けられる
待たせ過ぎな男と待てなかった女
大河ラブストーリー
いい作品なのだが、内容が詰め込みすぎの感あり。まるで『大草原の小さな家』の全ストーリーを一つの映画にしてしまったかのような・・・そんなイメージ。いや、しかし、感動的な場面や印象深いシーンがいっぱいあるのです。戦争から帰ってきた直後の大牧場で子牛が鉄条網にからまってうめいているところ。これは戦死したサミュエルのシーンを彷彿させるところ。だがトリスタンは感情を表に出さない。他にも、父ウィリアム(ホプキンス)がアルフレッド(クイン)を叱り付けるシーン。ここは一瞬レクター博士になってしまったかと思ったよ・・・
全体的に自然の美しさを前面に押し出し、アメリカの四季を感じさせる。家族の心がが時には離れ離れになり、また深い愛で結びつく。古き良きアメリカといったものもありました。父が先住民虐殺に対して怒りを感じたり、無駄な戦争への参加に反対する姿勢にも心打たれました。
何か物足りないといえば、トリスタンが野性へと回帰するはずなのに、理性がかなり邪魔していたこと。もっと暴れてほしかったです。
生き急いだ男が生き延びた不思議な人生ドラマ、その魅力に溢れたズウィック監督のアメリカ映画
興味深い映画だった。父と息子の関係、男兄弟三人の愛憎、ネイティブアメリカンの神秘的能力に惹かれる白人の姿、愛する男と一度は結ばれるが幸福にはなれない女性の立場、戦争で破綻する人間育成と恋愛感情の結び付きなど、現代のアメリカ社会とは違う価値観と秩序の過酷な時代背景から生まれた人の道というドラマが壮大に描かれていた。
ブラッド・ピットは悩む青年の役柄が続くが、この作品でも第一次世界大戦で弟を守り切れず死に至らしめたことに懊悩し復讐を果たして、戦後は弟の婚約者と相思相愛になりながら遥か離れて世界を旅する放浪の身に自分を追い詰めていく。複雑で何を考えているのか捉えどころのない不思議な人物を、ピットが魅力的に演じている。男泣きの難しい演技も見せていて、これは「エデンの東」のジェームズ・ディーンの再来の俳優扱いになるのだろうか。また、映画の最後で明かされる、生に対して最も危ういポジションにいたこの主人公が1963年まで生き延び、彼を愛した多くの人達はこの世を早くに去ってしまったとある。これは63年生まれのピットをキャスティングしたからその数字にしたようにも思えて、役柄と俳優の生まれ変わりを意図したと捉えても面白い。どちらにしてもこのブラッド・ピットが演じた主人公のユニークさが映画最大の見所になっている。
戦争のない平和な今の世からみれば、戦争によって愛することを大切にした時代があった。平和なだけで幸福が満たされる訳ではなく、その時代の幸福の追求がある。それは多くの映画で描かれて来た、死に直面して初めて人は愛することに真剣になれること。その遺伝子を受け継いでいるからこそ、多くの名画が普遍性を持っていると言えるのではないか。この作品にも、そのことに気付かせてくれるテイストがあって、作品の完成度ではなく内容面で感動するものがあった。
アンソニー・ホプキンス演じる父親は元騎兵隊の大佐で、戦争の残酷さや国家の独善に嫌気が差し退官し隠遁した男で、妻とは別居しながらも三人の息子を育て上げた人物である。彼の教育方針は特に描かれてはいないが、子供たちは其々に立派に成長している。ただ、父の愛情が次男に多く注がれるのは、自分に似た性格や資質を多く受け継いでいることに起因しているからだろう。その上でカギになるのは母親の存在なのだが、キリスト教のアメリカ映画の例に洩れず、脚本は妻の存在に深入りしていない。この上品で美しい妻とホプキンスの夫婦のドラマも観てみたいと思わせる設定ではある。禁酒法の時代背景もなぞる程度で説明不足の欠点も多いが、色々と考えさせる物語の真面目さをエドワード・ズウィック監督が手堅くドラマティックにまとめている演出は評価したい。
1996年 11月25日
公開時は映画館の前まで足を運んだのだが、大味の大河ドラマと思って敬遠してしまいこの時後悔してしまった。ブラッド・ピット作品を全て観ているわけではないが、デヴィッド・フィンチャーの「ファイト・クラブ」とこのズウィック作品、そして最近の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が現時点でのピット映画のベストになっている。その中でこの作品が一般的には全く評価されず、忘れ去られているのが少し残念ではある。
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