「タランティーノ、衝撃の監督作!」レザボア・ドッグス こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノ、衝撃の監督作!
2025年5月投稿。
この作品は1992年の作品で、世界中を驚かせたクエンティン・タランティーノの(恐らく)処女作にして大ヒットした映画だ。
公開当時、終演した後、席からしばらく立ち上がれない感覚に襲われたのを良く憶えている。
今までに観たことも無い、スピーディーな展開、時間軸が込み入っている為に少しずつしか分からない事件の展開、次第に分かり始める事実、そして衝撃的な幕切れまで、上映時間100分弱でここまで魅せきるのは、一重にタランティーノの“ある種映画の常識を破った大胆な演出や編集”に有るが、個人的には、ほぼ主役の(Mr.ホワイトの)ハーヴェイ・カイテルに心を鷲掴みにされた事が大きかった。クシでヘアスタイルを整える姿にシビれた…。
拳銃の使い方も乱暴で勿体振らず、エグいシーンもサラッと描いてしまう、この野蛮とも言える雰囲気に呑み込まれてしまったと云うのが、率直な感想だった。
個人的に『その映画に対してあまりに愛情が強過ぎると、その後かえって何度も観ない』と云うクセが有り、劇場を出てからはほんの数回しか観た記憶が無く、先日BDを安く入手して何十年振りかで観たのだが、記憶と全く違うストーリー展開に、自分自身で驚いた。勝手に頭で自分なりのイメージを作り上げ、ストーリーの解釈もしてしまっていたのだと思う。
冒頭の食事しながらの他愛の無い会話のシーンも、もう少し身のある話だった気がしていたが、タランティーノがマドンナの歌の下らない話を延々としていた記憶は飛んでいた。もっと各人も喋っていた印象だ。
そして血だらけで待ち合わせ場所に逃げ込んでくるシーンも、こんなに唐突だったっけ?と自分の頭に聞いてみたが、全くの予想違い。Mr.ブロンド役のマイケル・マドセンがメッチャ格好良かったのも忘れていた。
とにかく、全てがアッと言う間の出来事のようなイメージから、《裏切り者は誰だ》の話から意外と早くその人が分かってしまう展開なのも、憶えて無かった〜。悔し〜い!!!
でも、始めの黒服を着た男達が歩いて店を出るシーンの格好よさだけは全く変わり無く、シビレる所だけはピッタリで、最後のブッチギレたMr.ホワイトのアップと凄まじい射撃音で映画は終わる。
今観ても、笑ってしまうぐらい間抜けな泥棒達の話なのに、シビれる程格好良い男達の熱い物語を楽しんで欲しい
タランティーノはその後、『トゥルー・ロマンス』と『パルプ・フィクション』迄が最高潮で、それ以降はひねくれ過ぎて理解不能な駄作が多くなり、とんと御無沙汰に成っているが、初期の3作だけは永遠に光り輝く名作だと、個人的には思っている。