劇場公開日 2024年1月5日

「強奪シーンのない宝石店強盗物語」レザボア・ドッグス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0強奪シーンのない宝石店強盗物語

2020年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 宝石店強盗のシーンがあるものだと思っていたら、肩透かしを食らった気分になりましたが、省いても十分面白いし、大丈夫なんだ!と驚愕。同監督の『パルプ・フィクション』の原点とも言えれる本デビュー作。時系列いじりや無駄な与太話も炸裂し、強盗の結果であるダイアモンドもブシェーミが持ってる話すだけ。ストーリーは「誰が裏切者なんだ?」ということに終始する。

 雇われた6人はブラウン、ピンク、ホワイト、ブロンド、オレンジ、ブルーとコードネームのように色で呼び合うようにジョーとエディによって指示される。ブラウン(タランティーノ)が死んだというのは予想通りだったが、ブルー(エドワード・バンカー)はどうなったんだ?というくらい存在感がない。

 黒ずくめのスーツにサングラスといったギャングらしいスタイルもいいが、このショットはほんの僅か。むしろ血まみれのオレンジ(ティム・ロス)と彼をいたわるホワイト(ハーベイ・カイテル)の襲撃後の後始末の様子がメインだ。病院に連れていきたいが強盗団だけに難しい。やがてメンバーが集合場所である倉庫に集まり始め、疑心暗鬼の心理劇となるのです。

 どこを省いてどこをメインにするか。ホワイト、ブロンド、オレンジはちょっとした章立てに組み込まれているものの、彼らの過去の犯罪歴や性癖なども明らかではない。わからない部分があるからこそ観客目線でも推理ができるし、人物相関図も個々の性格も思い描くことができるのです。

 残虐なシーンの一つ、捕えた警官の耳を削いで話しかける場面にもゾッとするし、人間性を失った者とそうでない者の対峙にも痺れるほど。4ページの小話を暗記しなければならなかったり、ブラックが人気だったりすることも面白い。「ライク・ア・ヴァージン」論議も下ネタすぎるけど、記憶に残りそうだ・・・

kossy
かせさんさんのコメント
2024年3月31日

発砲のタイミングが怖い犯罪映画はは傑作、と勝手に決めてます。
その辺も含めて暴力シーンはゾワっとくるほど完璧でした。

かせさん