レインメーカーのレビュー・感想・評価
全23件中、21~23件目を表示
よく撮れてるよ、ほんと
しっかりした映画ですね。さすがコッポラ!
なめらかに違和感なく、演出をこちらが過剰に意識しないで観ていられることって、意外と少ないんだなぁって感じる今日この頃。この映画は、ひとつひとつのショットが安定している感じがして、安心して観ていることができました。
欲を言えば、クレア・デインズがとても魅力的だったので、もっと見たかったなぁ、って。変なこと言いますと、この映画、女性の太もも映画って感じもしましたね。
巨大な敵との孤独な戦い
総合:90点
ストーリー: 90
キャスト: 90
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 65
資格を取りたての全くの経験のない新人弁護士が、飛行機に乗る金もなく長距離バスに一晩揺られて悪意のある人々が待ち構える敵の本社に裁判の調査のためたった一人で乗り込み大勢を相手に質問をする。右も左もわからない新人弁護士に何が出来るといわんばかりの人を見下した雰囲気にのまれないように、孤立無援に戦うのは強い精神を持たなければならない。これよりは遥かに軽い状況だが似たような経験がある自分としては、この辛さがよくわかる。法廷で許可なく証人に近づいて裁判官に注意されたり、反対尋問では許されているのに誘導に異議をとなえたり、せっかく有力な証拠を見つけたのに正規な手続きをしなかったために証拠が認められなかったりと、経験のない初心者らしい失態を繰り返す。決して恰好のよい姿ではないけれど、それでも正義のため依頼人のため自分のために、今出来る精一杯をしている彼に共感する。
そして治療のための保険金を得られず白血病で苦しむ依頼人とその家族の抱える悔しやと悲しさ、同時進行で登場する家庭内暴力に生命の危険を感じる若い人妻との恋が、法律の背景にある人の感情を描いてただの裁判の緊張以上の、人の営みの温かさや潤いを感じさせてくれる。
いかにも法科大学院を卒業したばかりの貧乏人という風情を、マット・デイモンが演じる。失敗を繰り返し重圧に対して弱みを見せないようにやせ我慢しながら、経験豊富な相手側弁護士と比較するとはるかにたどたどしいながらも精一杯の弁護をしていく姿が見物。ダニー・デヴィートやミッキー・ロークが彼を支える怪しい法律屋としていい味を出していた。家庭内暴力に苦しむクレア・デインズが、デイモンが弁護士としての成功ではなく人として幸せを作り上げることを求める対象として潤いを与える存在になっている。
全23件中、21~23件目を表示