レイジング・ブルのレビュー・感想・評価
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素晴らしい作品なんですがね
初見の印象はあまり面白くありませんでしたが、傑作の呼び声高いので再見。 確かに主役三人の超絶演技、スコセ先生ならではの映像センス、メリハリの効いた映像展開の運び、陰影を最大限に生かしたモノクロ撮影、傑作と呼ばれる要素は備えています。 がしかし、全体としてつまらなくはありませんが、といって面白い、とも感じません。 面白味は薄いが、完成度はたかい純文学の傑作みたような作品です。
病的な性格
主人公ジェイクの前妻に対する八つ当たりを見ていて、2番目の妻であるビッキーに対しても同様の行為に及ぶだろうと思っていたが、案の定だった。そしてビッキーに対する束縛が強く、どこで何をしていたか監視をしないと気が済まないという病的な性格を見せる。しまいには弟まで疑い出す始末。今まで他者を信頼したことが無いのだろう。だから暴力で他者を押さえつけたがる。妻にも弟にも見限られる根本的な原因が、他者を信頼できないことにある。 ストーリーはボクシングの試合と家庭内不和の問題が繰り返され、単調に進むのでそこまで面白いとは感じなかった。ジェイクを演じたロバート・デ・ニーロの役作りは見事。いつ怒り出して何をするか分からない男の恐怖感を出すことができていた。
デ・ニーロ・アプローチ・・・
太ったり、筋肉質になったり、髪の毛抜いたり、いわゆるデニーロアプローチと呼ばれる役作りが浸透したのはこの作品からではないでしょうか。そういう意味では革命的な作品ですね。デニーロはこの作品の演技が素晴らしすぎるがために指針となってしまい、後の作品での演技が物足りなく見えるというか、なかなかオスカー獲得に繋がらない、幸か不幸か・・・天才マーティン・スコセッシ監督が描くデニーロ演じるジェイクラモッタの病んでる描写が容赦ないというか、血も涙もなく描いてますよね。人間としてボクサーとしてのジェイク・ラモッタの罪と罰の物語。こんなすごい人間ドラマを見せられたら、某ボクシング映画のアメリカンドリームが安っぽく見えてしまう・・・
ボクシングシーンの、 殴られて、顔面が切れて血が飛び散るシーンなど...
ボクシングシーンの、 殴られて、顔面が切れて血が飛び散るシーンなど迫力あるが、 ボクシングシーンがメインではない。 ハードな練習風景や 減量の苦しみシーンもそんなにあるわけではなく、 主人公のジェイク・ラモッタの 嫉妬深さなど、内面に焦点を当てた映画になっている。 なので、 娯楽映画として期待して見るのであれば、 ロッキーの方が面白いが、 ジェイクが栄光から転落し、 ショウパブにおちつくところまで、 ロバート・デ・ニーロの役者魂をとことん味わえる映画だ。 現役ボクサーの頃の出来上がった肉体から、 ボクシングやめた後の だるんだるんの たいこ腹、全部役作りでつくり上げたのであれば この努力は半端ない。 映画としては特別好きではないが、 ロバート・デ・ニーロの役者としての生き様、 役者とはなんぞやを がっちり見れる映画だ
そんなに名作かなぁ
そんなに名作かなぁ…? 成り上がりの熱く燃えるようなやつかと思ってたら全然違うんですね。事前の概説で町山さんも言ってたけど。 きっとボクシングの勝利への執着と同じように、妻への嫉妬心を払うことが出来ず、そのために身を滅ぼす主人公。 ボクサーとしては魅力的なんだろうが、一人の人間としては、ねぇ… 観ていて辛かったです…
んー…
ロバートデニーロが演じたいと渇望した映画 んー、なんとも男性的 暴力的で退廃的 まさにマーティンスコセッシの映画だ 変なところで妙に長回しするのが 癖になるっちゃなる リングとか滴る血とか 素晴らしいシーンは多々あった
リング上のタクシードライバー
だいぶ前にDVDで観たけど、改めて映画館で観たら、ボクシング映画と言うより狂気に取り憑かれた男の心理ドラマの印象でした。妻や弟にすら疑心暗鬼になり、試合では相手を徹底的に痛めつける凶暴なプレイスタイルのボクサーである主人公の屈折した心理が、モノクロ画面で不気味に描かれています。観客に血しぶき飛び散る試合のバイオレンス描写も凄まじいけど、監督と脚本は『タクシードライバー』のコンビで納得。デニーロの体型改造演技もあって、引退してからは憑き物が落ちたような豹変ぶりも、どこか薄気味悪さがあります。役者ではデニーロの演技は言うに及ばずだけど、意外と目立っていたのはジョー・ペシで、目つきからして怖かったです。キャシー・モリアーティの妖艶さも凄いけど、15歳の少女役は無理では?
ボクシングの壮絶な戦いの先に
スコセッシは殴られる方だったが、カトリックの神父に助けられて、本当は神父になりたかったという。 そんな人間の業みたいなものをぼくしの壮絶な演出の先に見せるのはとてもうまい。 自分をバカと言う場面は、自ら省みて心に残るものがあった。
ストーリーよりも
デニーロさんの体型激変、知ってて観てもやっぱりスゲー! 実話ベースだからなるほどって勉強みたいに鑑賞。 モノクロなのがなんか残念。 カラーでいいのでは? それにしてもデニーロさんの演技、良かったわ!
はじまりのシーン
がかっこいい。 ロバート・デ・ニーロがシャドーボクシングをしているのだけれど、音楽とのちぐはぐさ(?)が妙に心に残り、かっこいい、というか美しい! ひとつの映画で、こんなにやせたり太ったりするのは、改めて役者(デ・ニーロ)の執念を感じた。 見たかった映画がやっと見れた。
男のドリームとジェラシーをモノクロ映像とマスカーニの音楽で抒情化したスコセッシ監督の映像詩
マーティン・スコシージが演出した、破滅型ボクサーの成れの果ての映像詩。ロバート・デ・ニーロの役者魂がストレートに感じられる闘う男の熱さと敗北の無様な姿が強烈である。この演出と演技が一つに溶け合って見事な映画となる。描かれたものは男の敗北、それも生きながらえて人生に負けた男の挑戦者のむき出しの生き様。ここには今日の社会性とは無縁の、勝負に拘る男の性があるだけ。「アリスの恋」が自立して生きて行く女性の困難さを描いたのに対して、この作品は本能だけで生きて行く男性の孤独を見詰めた男のための映画だった。物語は非常にシンプルで、モノクロ映像の美しさが際立ち、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティーカ』の間奏曲と渾然一体とした演出も素晴らしい。この叙情的な曲が、ボクサーを主人公にしたドラマのメインテーマ曲として生かされている。 ドラマツルギーと云うより、ジェイク・ラモッタの見たスローモーションの残像が音楽で抒情化された、男のドリームとジェラシー。 1981年 2月18日 日比谷映画劇場
栄光やサクセス・ストーリーとはかけ離れた転落人生に焦点を当てた力...
栄光やサクセス・ストーリーとはかけ離れた転落人生に焦点を当てた力作だ。『ロッキー』がアカデミー賞を獲ったことに対するアンチテーゼの意味も込めてあるような気がしてならない。 結局オスカーでは、作品賞や監督賞はとれなかったもののジェイク・ラモッタの半生以外にロバート・デ・ニーロ自身の半生をも反映したかのように、彼の映画になっているような作りだ。どんどん下っ腹が醜く出てくる映像も役者魂を感じるし、彼にしか出来ない役柄だったのではないだろうか。疑心暗鬼にかられるジェイク、嫉妬に狂うジェイク、人生を投げ捨ててコメディアンとして生きるジェイク、人生の勝者なんて中々生まれてこないんだなぁ、としみじみ思う。
【1940年代の実在のボクサー”ブロンクスの野牛”ジェイク・ラモッタの絶頂期から、醜く太り零落していく姿を、ロバート・デ・ニーロが”デ・ニーロアプローチ”を炸裂させて演じた作品である。】
ー この作品は、何年かけて製作したのだろう・・と思わせるほどの、ロバート・デ・ニーロの1940年代にミドル級ボクサー(時にチャンピオン)を演じた時の、引き締まった体型と、僅か20数年後の腹が突き出た、醜く太った姿のギャップに驚かされる・・。 且つ、今作前の「タクシー・ドライバー」のロバート・デ・ニーロの整った顔立ちとは違い、鼻の形が鷲鼻になっており、あれはメーキャップだよな、まさか整形していないよな・・、と思った作品でもある。- ■印象的な事 ・ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)が、ミドル級ボクサーとして活躍していた時代の、最大のライバル、シュガーとの3戦を含めたボクシング戦の描き方。 ー 迫力は十分であり、今作後のボクシング映画に影響を与えたと思われるアングルは見事である。 多数の試合を2時間強の尺の中で描いている所も、巧い。- ・ラモッタの病的な2番目の妻になった最初に会った際には15歳だった少女ビッキーへの執着心と猜疑心。 それは、弟の彼のマネージャーを務めていたジョーイ(ジョー・ペシ)にも及ぶ。 ー 可なり、常軌を逸した人物であったらしいが、ロバート・デ・ニーロが見事にその狂気性を帯びた人物を演じている。ー ・宿敵のシュガーに敗れた後、彼は”ジェイク・ラモッタの店”というバーを開くが、その時点での彼の風貌が見事な太鼓腹であり、顔はパンパンで、”同一人物か?”と思ってしまうほどの変わりようである。 <”デ・ニーロ・アプローチ”と言う言葉を象徴する作品。 彼は、いったい今作製作中に何キロ体重を増減させたのだろう・・。 今作に影響を受け、デ・ニーロ・アプローチを取り入れた俳優が多数出て来た、先駆的作品でもある。> <いつか、忘れたがDVDにて鑑賞。> <2022年2月24日 別媒体にて再鑑賞>
ロバートデニーロ熱演
1941年、ロバートデニーロ扮するミドル級ジェイクラモッタは、勝ったと思った試合に初めて負けた。観客は八百長だと叫び荒れた。ジェイクはイラついていた。プールで会ったキャシーモリアーティ扮する15歳のビッキーに癒されていた。1947年、ジェイクと闘う相手はなかなかいなかった。ビッキーは20歳になったが、ジェイクは余り相手をしないので男あさりを始めた。試合もうまく組めないでいた。独りよがりで、回りからも批判されていた。タイトル戦が出来る様にはなったが、負ける八百長を強いられた。ジェイクは悔しくて泣いた。1949年、ジェイクはミドル級タイトルマッチで勝って泣いた。ジェイクは、ビッキーについて異常に焼きもちを焼いた。その後の試合で、ジェイクはダウンはしなかったがタイトルを失った。1956年、ジェイクは引退し、クラブを買って満足したと言った。ロバートデニーロは熱演でアカデミー賞を獲得しているが、これほど精神的にローハイのある性格だったとは世界チャンピオンも楽じゃないね。
栄光と転落
スコセッシ監督作品の中では、グッドフェローズやウルフオブウォールストリート、最近ではアイリッシュマン等と同じ、ある男の栄光と転落を描いた作品。 そして、デニーロ、ペシ、スコセッシの黄金トリオが誕生した作品でもある。 でも他の作品と比べて案外淡白、のし上がっていく過程に痛快さなんてものはない。寧ろ主人公への不快感が増す。なんといっても猜疑心が強すぎる、暴力的。破滅が待っているのが言うまでもなく分かる。 退屈だなと感じたし、もっとボクサー時代に盛り上がる熱い展開があればなぁと思ったけど、それだと他の作品と変わんないってことなんかな? 栄光を手にした人間が引退後、頼れる人もいない状態に哀れみを感じた。八百長した時もそうだが、取り返しのつかないことをして落ちぶれて、初めて自分がどうすべきだったのか気づくのが人間なんだよなとラストで思った。 現役時代あんなに引き締まっていたのに、引退後の肥満体型を表現するために27Kg増量して挑んだロバートデニーロの狂気的な役作りに脱帽する。特殊メイクやCGでええやんとか思うけど、作品の面白さには役者の演技力はもちろん取り組む熱意、思いも大事なんだなと改めて思わされる。今後も役作りで体重の大幅な増減をする人は出続けるんだろうな。
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