「当時の30代女性」旅情(1955) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
当時の30代女性
クリックして本文を読む
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 70
この映画は1955年の制作である。その当時ならば、ジェット機もなく女性の権利も生き方も現代とは大きく異なるであろう。現代の映画「セックス・アンド・ザ・シティ」では主人公たちが30代で独身でも特に違和感もないのだが、この当時でその年齢で独身ならば完全に売れ残りのいき遅れ。そんな女性が、当時まだ高額の航空券を買いプロペラ機を乗り継ぎ海を越えて欧州に一人旅行するなんてのは、通常見られることではないであろう。
だがそんな女性でもやはり女の心は残っている。会社では男のいないまま歳を重ねていても、やはり相手のいない一人旅の空しさは隠せない。そんな旅の孤独感とひと時の燃え上がる老いらくの恋が(というほど年寄りの設定ではないが、この当時の基準ではそうかも)、陽光に照らしだされたベニスの街で展開される。相手の愛を感じながらも、現実に目を向けて怖くなり逃げるようにベニスを離れるキャサリン・ヘップバーン演じるジェイン・ハドスンの、歳に似合わない恋愛に対するウブさが可愛くもあり悲しくもあった。
コメントする