「2人に共感できない」旅愁(1950) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

2.02人に共感できない

2025年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 イタリアの観光地の映像は綺麗でよかった。

 ストーリーはつまらない。まず、何で出会ってすぐにデヴィッドとマリアの2人が恋愛関係になるのか分からない。「友人として過ごす」とデヴィッドは言っていたが、どう見ても最初から恋愛関係にしか見えない。飛行機が止まった時間を、隣席にいた女性との旅行に使うところは『めぐり逢い(1994)』に似ている。『めぐり逢い』だとウォーレン・ベイティが積極的に彼女をナンパして距離を縮めていたので恋愛関係になるのも分かるが、今作にはそういうきっかけを感じない。

 あと、デヴィッドが主人公としての魅力に乏しい。あんなに一途で素敵な妻がいるのに、彼女を捨てようとするのが共感できない。そのくせアメリカ帰国後に会いに行ったりして、中途半端な印象を受ける。

 ラストシーンでマリアが別れを切り出すところも、今になってそれを言うのかという感じで呆れた。以上の理由から両者とも好きになれない映画だった。

 この映画、『ジェニイの肖像』の監督の作品だと鑑賞後に知った。売れない画家の男が不思議な少女と出会い徐々に惹かれていく『ジェニイの肖像』の方が断然好きだな。

根岸 圭一
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