劇場公開日 1982年4月17日

「美し過ぎる真田氏は必見。 真田氏を観る映画 ♡」龍の忍者 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0美し過ぎる真田氏は必見。 真田氏を観る映画 ♡

2021年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

興奮

萌える

なのに…ああ…
 観たのは日本公開版ではなく、海外普及版らしい(T.T)。

真田さんの海外進出第1弾とも聞く。気合が伝わってくる。すべてがキレキレ。

真田さんのアクション、立ち振る舞い、笑顔を愛でる為の映画。
 何をどうみても、ため息が出る。スチール写真ではわからない。動画がいい。動きやちょっとした表情がたまらない。

なのに、ああ。

ストーリ―0点。音楽も、オープニングのテーマソングはいいが、それ以外は0点。
 話ブツ切り、どうしてそこでいきなり心情が変わる?唐突過ぎて開いた口がふさがらないなんてレベルではない。
 オープニング。『シャカニンジャ』の楽曲にのせて、忍者たちのアクションが次々と、まるでガイドブックか図鑑のように出てくる。土に潜って姿を隠したり、飛び跳ねて移動したり、城壁のぼり…。笑いを誘うが、演じているスタントマンたちの苦労をねぎらうとともに、その身体能力に驚きながら、曲のノリに、いつの間にかハマってしまう。歩いていて口ずさみそうになり慌ててしまった(笑)。チープっぽいけれど、おもしろそうな予感にわくわく。
 そして、
 冒頭、福佐を慕うボンボン息子・孫靖(コナン・リー氏)がお祭りで腕試しという華やかなシーンから始まり、よくあるカンフー映画の流れを予感。
 その一方で、親の敵討ちのために中国に渡ってきた玄武が、着々と親の仇を突き止め、その機会をうかがうという、日本の時代劇の流れを予感。
 どちらも、よくある物語かと思うけれど、コナン・リー氏のカンフーにくぎ付けになり、真田氏のキレッキレのアクション・演技に見惚れてしまう。福佐演じる田中氏が安定の演技で、しめてくれ、これもまた良い。
 けれど、話の隅々で、この主人公二人に共感ができなくなってくる。
 復讐したいという思いに取りつかれ、仲間への裏切りはともかく、迷惑かけまくりの玄武。掟と自分の狭間に苦しんだ白戸三平氏の『カムイ外伝』を模したのか?でも、『カムイ外伝』のベースになっている『カムイ』ほどの非情さは描き切れていないから、たんなる猿真似でなんだかわからないようになっている。そして、「実は…」の展開の後の余韻がないので、気持ちが付いていけない。「実は…」の後の余韻がないのは、ジャッキー・チェン氏の初期のカンフー映画にもよくあることなのだけれど、お国柄の違いなのか?
 もう一人の孫靖も、福佐を慕うところはかわいいが、ボンボンの思い上がり。正義感が強いという設定らしいが、ストーリーにうまく表現できておらず、あまり感情移入できるような人物ではない。
 せめて、その二人の精神的成長譚になっていればまだしも。
 そして最大の問題点がラストのバトル。そこまでされるようなことをしたか?という展開。このラスボスの遺児が、孫靖と玄武を親の敵と狙う物語ができてしまうほど。
 カンフーとアクションを見せるために無理やりのストーリー。
 二人のアクションをひたすら見るか、間に挟まれる当時の流行りを追ったギャクを刹那的に・懐かしく楽しむか。
 音楽も映画のシーンではとってつけ。何故。この場面でこの音響・バックミュージック(T.T)。かえって映像の緊迫感を殺している。

とはいえ、

 真田氏の立ち振る舞いは満点。さすが時代劇に慣れているだけある。というか、日舞の名取り。立って座るだけでも、カッコイイ。
 田中氏も余裕。
 お名前忘れたけど、忍者の頭領も笑えますが妖怪っぽくって、まあ良し。
 けれど、真田さんの恋人役。あれはないだろうと言う役柄は、まあ監督の指示に逆らえなくて仕方ないのかもしれないけど、違和感MAX。健康美満載なのだけれど、日本人ならしないだろうという立ち振る舞い。香港人?が日本人役やっているの?という感じ。

他のレビューサイトで、日本公開版と香港版があると知る。カットされている部分もたくさんあるらしい。
 せっかく良い演技しても、編集次第。私みたいな素人は見たバージョンの映画で役者を判断してしまう。役者も辛い。

繰り返しますが、観たいよ、日本公開版。

とみいじょん