「全く救いのないドラマだが、ヒッチコックを凌ぐ様な怖さが満載で、何とも個性的」反撥 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
全く救いのないドラマだが、ヒッチコックを凌ぐ様な怖さが満載で、何とも個性的
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ロマン・ポランスキー監督による1965公開の英国白黒映画。
カトリーヌ・ドヌーブの目の、美しさを通り過ぎた様な不気味なドアップから映画が始まる。意図してなのか、肉厚な二重瞼と睫毛のモジャモジャ感がどこか卑猥。笑顔一つ見せず、彼女の美しさよりも暗さや被社会性が強調される。
そして、ドヌーブが一人になってから、ヒッチコックを凌ぐ様な怖さが満載となる。男性恐怖症の彼女に迫るさまざまな音や光。彼女が恋人を撲殺するまで至る意外性。あんな良い彼氏だったのに。そして家主を何と剃刀を用いて刻むかのように殺すのが、恐ろしい。その後、初めて笑顔の様な表情を彼女は示す。完全に狂ったのだろうか。
ラストの家族写真の中で睨む様な視線を父親に向ける少女、彼女の恐怖症は幼少期のトラウマなのだろうか。
全く救いのないドラマだ。でも、何とも個性的で、今まで見たこともない映画でもある。
人気絶頂期に、長編第2作目となるロマンスキー監督によるこの映画に出る決断をするカトリーヌ・ドヌーブに驚かされた。
脚本はロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラッシュ。
撮影はギルバート・テイラー、音楽はチコ・ハミルトン、言語は英語。
出演は、カトリーヌ・ドヌーヴ 、イアン・ヘンドリー(姉の恋人、英俳優)、ジョン・フレイザー(恋人、英俳優)、イヴォンヌ・フルノー (姉、仏女優)、パトリック・ワイマーク(家主) 。
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