「大傑作」リービング・ラスベガス 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
大傑作
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ニコラス・ケイジがアル中で金がなくなるまで飲んで、飲みつくしたら死ぬ決意してラスベガスに向かう。自分の人生の結末を決定する生き様は時に甘くもあるのだが、破滅に向けてのカウントダウンは止まらず、ハッピーなエンディングは望むべくもない。
現実のアルコール依存症は肝臓が悪くなったりいろいろな病気になって映画以上に悲惨な苦痛に苛まれると思うので、描かれているのはファンタジーかもしれない。しかしもし、アルコールでただ単に弱って死ねるとしたらこのような形もありではないだろうかと希望を感じさせてくれる。欲望を肯定し破滅を受け入れ、一切の正当化をせずまちがったまま死ぬ。人間は間違っていてもいいと思う。正しくあらねばならないという決まりはない。しかし、正しくなかったり貧しかったり迷惑だったりすると限りなく居場所が限定されてしまうのも事実であり、それも込みで受け入れていけばいいではないか。もちろん甘い道でないことは重々承知の上だ。
運転しながらボトルをグビグビやっていて白バイが並走する場面と、プールに落ちて水中でボトルに口をつける場面がすごく好きだ。女の子が一所懸命泳いでいてかわいかった。
傑作ダメ男映画殿堂入り4作品のうちの1本に認定している。30代で見た時は刹那で切なく甘い感じで受け止めたのだが、40代も半ばを過ぎるとずっしりと考えさせれる。
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