「「家族」の範囲が広いイタリア」ラ・ファミリア talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
「家族」の範囲が広いイタリア
罵り、喧嘩、皮肉、かみ合わない議論、父と娘の言い争い、ビンタ、磁器や陶器を割る!と賑やかで騒々しく、ピアノと歌と朗読と絵画に伴走されて、一人一人が個性豊かな家族が織りなす生の絨毯。その中に散りばめられていることばが星のようでもありナイフのようでもあり美しかった。
大きなお屋敷の中の長い廊下。その廊下の突き当たりの部屋を開けると家族が揃っている。年寄りはその半分も誰が誰だか知ったこっちゃない。若い人は年寄りを把握しているし、年寄りは小さきゃ孫かひ孫だろうと判断する。カルロが生まれたお祝いの家族集合写真で映画が始まり、カルロ80歳の家族集合写真で映画が終わる。
子どもに対しては親としての厳しい顔と言葉。夕食抜きのお仕置きとして子どもらを寝室に追いやってから、大人達だけのダイニングでみんな大笑い。この箇所が私はとっても好きだ。
生まれて成長して勉強して恋をして仕事を持ち結婚し子どもが生まれ、祖父や親や叔母達や配偶者が亡くなり、子どもが大人になって生命が紡がれていく。説教くさい台詞も感傷も蘊蓄も全くない。主人公カルロはじいさんになっても正直で皮肉屋で負けず嫌いで我が儘で優しく魅力的だ。一目惚れの初恋の相手アドリアーナも負けず劣らずきつくて強い。そんな二人の60年以上にわたる付き合いが何だかわかる気がした。
おまけ
映画「ニューシネマ・パラダイス」でアルフレード演じたフィリップ・ノワレ(アドリアーナがパリで知り合ったフランス人役)が出ていました!
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