「ジャズに生きるしかなかった男の話」ラウンド・ミッドナイト 星組さんの映画レビュー(感想・評価)
ジャズに生きるしかなかった男の話
いまでこそ東京の南青山に「Blue Note TOKYO」があり
誰もが「ジャズ=おしゃれ」などと思うが
これはジャズが泥臭いと思われていた時代の
1950年代後半のパリを舞台に
その演奏で生活していた男の物語である。
ジャズ演奏家とひとりのファンの出会い。
当時はまだ恵まれない環境の中でも、
演奏さえできれば「金のことは考えない」
そして毎日、酒に溺れ朝を迎えた。
いつ死んでもおかしくない男を再生させたのは
パリに住むデザイナーであった。
まずは環境を変え、正規のギャラを受け取るようにさせた。
次第にジャズ演奏家は生気を帯び復帰を果たしたが、、、。
この作品には本物のジャズ演奏家の
デクスター・ゴードンが主演しており
その自然な振る舞いは称賛された。
またNY興業師にマーティン・スコセッシ(映画監督)が
出演していて、独特の早口は忙しい仕事師を印象付けた。
薬の売人など、ジャズ演奏家をカモにする者など
当時を思わせるようなエピソードも出てくる。
主人公のモデルはピアニストのバド・パウエル
彼の曲「クレオパトラの夢」は今もCMで使われている。
聞けば、あぁこの曲か、と思う人もいるはずだ。
この映画はジャズファンだけではなく
不遇な扱いを受けている人間
音楽と時代を知るドラマとして
鑑賞するに値する出来である。
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